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離島
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離島 4


俺はふと気づいた。アヌビスの姿も気配も消えていることに。

何がしたいのかよくわからないが、包帯男達は相変わらずジタバタしている。

無人島ではないはずだが、島民一同はどうしたのか。

仕方ないのでとりあえず欲情した連中は放っておく。下手に解放しても俺一人では管理できないからだ。

島民が貫かれてしまうかもしれない。

俺はまず島民達を探しに行くことにした。

それにしても不気味な島だ。

しばらく歩くうち、巨大な木が見えて来た。
本土にはありえないような一本の巨木。
雄の象徴のように力強くそそり立つ雄大な大樹。
見る男に力を漲らせると云うその姿は霊威的ですらある。


ふと近くの島で古老が語ってくれた伝承を思い出した。
はるか昔、この地に唐土より渡り来し女がおった。
たいそう清き顏(おもて)にて、島の漢どもの心をひと時ににして奪ったそうな。
なれどもこの女は誰とも結ばれようとせず、漢達は彼女を巡って争いを始めて島々が荒れた。
そのうち彼女はある島に渡り、処女なるに一人で娘を産み育てた。
誰との娘なのかを誰もが知りたがったが、女は誰との子でもないと言い続け、さらに娘を産んだ。
面白からぬは島の女達じゃ。
漢達がよその女に目を奪われ、あまつさえ争い出した。
渡って来た女と娘達のことを悪く言ったり、惹かれた男と喧嘩したり。

しまいには妬み抜いた四人の女が島に渡り、毒を盛ろうとしてな。
誰の子とも知れぬ娘達をまず殺そうとしたのだが、気付いた唐の女が自らその毒を仰ぎ、死んだ。
その亡骸から鳳が空に上り、驚いた四人の女は逃げ出したそうな。
その後、亡骸のあった所には一本の樹が育った。


娘達は樹を母の墓標としてあの島に暮らし、美しく成長した娘達は各々が婿を得た。

毒を盛らんとした四人の女は、皆が夫にも子にも先立たれ、寂しく世を去ったそうな。

そう伝わっておる。

島に暮らすは鳳となりし女の末裔じゃよ。



鳳となりし女…伝承なのだろうが、元となる騒動はあったのだろう。

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