離島 3
この島にやってきた窃盗団の声だろうか。拷問でもされているのか…。
少なく見ても窃盗団は10人は居る。そんな彼等が全員無力化しているらしい。
アヌビスとやらはどんな術を使ったのだろうか。とりあえず、催眠術防御の術をかけておく。
そして競技場を覗く。包帯の塊の様な物がいくつか床に並んでいるのが確認出来た。
それらはもぞもぞと動いている。
包帯の塊はまるで新種の虫のようだった。それを見下ろしているのが例の魔物アヌビスだった。
しかし、ここから見た限りでは黒い山犬のマスクを被った筋肉質な人間にしか見えなかった。
「これがモンスター…?ただのコスプレにしか見えないが、体格は良いな」
体格から想定出来る戦闘力はかなり高かった。正面から殴り合いをすればこちらもどうなるかは分からない、やりにくい相手のように思える。
ワイヤーを張って動きを封じるか…、なんて考えていた時ある事に気づく。
包帯の塊からなにかが硬く突き出している。遠くからなのでそれがなにかは分からない。
どの包帯からもそれぞれ1つずつ出ていて揺れている。近寄ってそれがなにかを確認する必要があった。
まさか…
幸い、一つは近くにあるのでワイヤーで締め上げる。
多少ジタバタされたが動けなくすると大人しくなった。
近づいて確認する。
これは…
出ている場所からしてこれはあれだろうな。
しかしこの大きさはどういうことか。草原の民に欠かせないあの生き物が持っているやつのような大きさだ。
残念だがここには包んだり挟んだりして果てさせる事ができる者がいない。
目の前でじたばたする繭からわずかに声が聞こえる。
「お…な…やら……入れ…やりた…」
どうやら、ヤリたいようだが…。
相手がいないし草原の民に欠かせないあの生き物のような大きさでは、相手が壊れる。
そういう指向の奴同士でもないのに俺がしてやるなんて本当に嫌だ。
そういう指向が無いのにそういう行為を強要された男は、そういう行為を強要された女よりもPTSDになった者の割合が高いという研究もある。
どうする?包帯を解くか?