声のお仕事なんですが。 18
旅行から戻って数日。
新しいクールでまたメインの役を頂いた。
高校の水泳部を描いたお話…信行さんの話を聞いた後なのでなんか縁を感じちゃうな。
「ガラガラだな」
「平日ですからねぇ」
インスピレーションを得るために行きません?という誘いに乗っかってトレーニングジムのプールに行ってみた。
「水着なんて久しぶりですね」
同じアニメで一緒になる後輩、森崎美羽(24)。
学生時代は水泳をやってたらしい…しかしこの子もまた胸がすごい。
「私たちに出演依頼が来たなんて…そのアニメってやっぱりエロ系なのかしらね?」
まあ私と美羽ちゃんの得意とするとこではあるんだけどね;…
「あらぁ凜子さん台本まだ読んだないんですね…。私も初めはそう思ったんですけど、それが結構真面目な青春もんみたいでしたよ…」
あれぇ、そうなんだ。
まあなんにしてもメインだから頑張らなくちゃいけないよね。
「リコさんは泳げます?」
「ん…一応大丈夫。まあ久しぶりだけど」
特別運動神経優れてるわけじゃないけど、一通りできる。
学生時代は陸上部だった。海はこの前みたくビーチで遊ぶか、釣りも好きだけどな。
それにしても監視員は若くてマッチョなイケメンだな。さっきからこっち気にしてないか?
信行さんのせいで目覚めてしまったのか…?
これぐらいのことで身体が疼いてしまう…
「あの監視員くん…やたらとリコさんのこと見ていません?…」
「やだぁ…それを言うなら美羽ちゃんのことを見ているのよ…あの子にとっては私なんてもう“おばさん”よ…」
おそらくバイトの大学生だと思う。
若き日の信行さんはああいう感じだったのだろう、Tシャツがきつそうに見える。
その下は筋骨隆々でとても逞しいのだろう。
「まあ、泳ぎますか」
「そうだね」
久しぶりに本格的に泳いだ。
まだ身体は鈍っていなかったようでホッとする。
体形維持のために定期的に行こうかしら。
そろそろ年齢的にも…ね。
美羽ちゃんとそろそろ出ようと申し合わせてプールを去ろうとする。
そこに、さっきの彼が接近してきた。