Infinity〜若社長とグラドルたちの日常 13
賢「おっと、誰だ」
ドアを開ける。
「賢ちゃん♪」
賢「おー…何故また」
やってきたのは佐藤桃。
彼女もインフィニティ所属のグラドルの一人だ。
桃「いやー、お仕事終わって、最近賢ちゃん家行ってないなーって思ったからさー」
賢「そうですかー」
ふわふわとした巻き髪が特徴的な桃。
性格も天然でふわふわした感じである。
ちなみに、賢太郎より2歳年上。
桃はコンビニのビニール袋を持っていた。
賢「何ですかそれ」
桃「お酒!」
桃は所属タレント一の酒豪である。
賢「また、飲み増すねぇ」
桃「呑まなきゃやってらんねーよぅ」
賢「仕事きついんですか?」
桃「いや?」
賢「じゃあ何なんですか」
桃「好きだからだね。それ以外に理由なし」
賢太郎も桃のペースである。
桃「ところで、賢ちゃんは何しようとしてたのさ」
賢「あー、コンビニに夕食を調達しに行こうかと」
桃「めっ!」
桃が賢太郎の額を軽く小突いた。
桃「一企業の社長とあろう人が、コンビニ弁当で済ませようなど、するんじゃありません!」
賢「いや、でも…」
賢太郎は自炊能力が全くない。
父・賢三は料理上手で有名な人だったし、その賢三の死後も外食やインスタント物に頼りきりだった。
で、対するこの桃は調理師や栄養士の資格を持っている。
桃「社長は他の見本となるべき存在です。そんな崩れきった食生活では、いずれ身体に影響します」
賢「ですが…」
桃「賢ちゃんのご飯も一緒に作ろうかな♪」
賢「…ありがたいですけど」
そこで賢太郎は思う。
冷蔵庫に食材なんてあったかと。
しかし
桃「結構あるねー」
賢「(え?誰がそんなことしたんだ?)」
賢太郎の中で思い当たる人物は
賢「(恵里子さんかな)」
恵里子は度々賢太郎の自宅にやってきて、掃除や洗濯やさまざまなことをやっている。
その中で、食材も買い込んで、保管していたのだろう。
賢「(期待されているのか)」
賢太郎は苦笑いした。