オナホールになった女 28
ヨーロッパはフランス、パリのホテルが、飛行機以外で最初の一泊。
結婚式から新婚旅行、そして初夜。
長旅の疲れはあったが、私は妻として当然のようにあの人に抱かれた。
「……珠江、大丈夫?」
「え、うん…優しくしてね」
恥ずかしげに答えながらも、身体は逃げるようによじっていた。
まだしっかり濡れていないせい…かな。
あの人が腰を動かすのを、どこか冷めた気分で見つめる自分がいる。
(…なんだろう、この人とのセッ〇スって、こんな感じだったっけ…?)
幾度となく身体を重ねたこの人とのセッ〇スの記憶を思い返そうとしても、なんだか曖昧にぼやけていく感じ。
よくわからないけど、この人とのセッ〇スを物足りなく感じているのは確かなようで、身体が冷めていくのをはっきりと自覚した。
膣口が少し痛くなってきた頃、あの人は私の中で弾けた。
ようやく終わった……というのが、正直な気持ち。
だらしなく眠ってしまったあの人から離れ、私はそっと胸に触れた。
物足りない、というか欲求不満。
あの人では満足できない……という不思議な確信があった。
尖っていた乳首を人差し指で突く。
ふっと、総くんのことを考えた…瞬間、身体が火照った。
チロチロと燃えていた官能の炎が急に燃え上がった感じ。
もう一方の手が、股間に伸びていた。
尖った肉芽に優しく触れる……違う、そうじゃない。
またふっと、総くんのことを考えた瞬間、とろり、と中から愛液が溢れるの感じた。
まるで、総くんのことを考えろと、身体が言っているようだった。
くちゅり、くちゅり、と淫蜜を弾かせながら、私は総くんの姿を脳裏に思い浮かべ、痺れるような愉悦に戸惑いながらも、それを楽しんでいた。
やがて、ひときわ激しい快楽が私の脳を灼いた。
絶頂の余韻、そしてとろけるような多幸感……私は、総くんの存在を感じながら眠りについた。
ヨーロッパ旅行は楽しかった。
初めて目の当たりにする光景、文化、人…全てが新鮮で、驚きに満ちている。
皮肉にも、それが夜には逆転する。
私は砂を噛むようなセッ〇スの後、総くんを思いながら自慰に耽った。
連続した絶頂感が、私の頭の中で花火を何度も上げさせ、自分の脳の神経がぷちぷちと断線していくような錯覚を覚えた……が、ごく自然に脳裏に描き出した総くんの姿が私の心を一瞬で癒す。
強烈すぎる快感に怯えのようなモノを感じたのも最初だけで、文字通り私は夢中になった。
私は、総くんなしではいられない…私は、総くん以外の男に快感を与えられることはない…。
一週間ほどで、私はそう思うようになっていた。
そして私は、『生理が始まった』と嘘をついた。
彼が、『そうか。無理はしないでいいよ』と言ってくれたので、少し申し訳なく思って、手と口で彼の欲望を受け止めた。
すぐにティッシュに吐き出してしまったが。
彼が眠りについたあと、やはり私は総くんを思いながら、自慰を始めた。
今夜は、総くんに抱かれるシーンを思い浮かべよう…。
「ごめんなさい、ちょっと疲れちゃって…」
「そうか。気にしないでいいよ。珠子がしたいようにしてくれれば、俺は満足だから」
そう言って、眠りにつく彼。
私が嫌がったので、ここ数日はおはよう・おやすみのキスもしてこない。
彼とのセッ〇スに何も感じなく…嫌悪感すら感じ始めたころと違って、今では冷静に、彼のことを『良い人だな』と考えられるようになった。
ただ、彼とのセッ〇スはもちろん、スキンシップすら取る気にはなれない。
昨日の自慰の途中で、私の身体は既に自分のものではないことに気がついた。
「私の身体は、総くんのもの…」
そう呟くと、じんわりと幸福感に包まれる。
こんな当たり前のこと、どうして今まで気付かなかったのか…。
私は、胸とクリトリスを弄り始めた。
今までのように、オ〇ンコの中に指を入れたりはしない。
ここは、総くんのチ〇ポを受け入れるための穴だもの。
快楽を噛みしめながら、私は、ウエディングドレスに身を包んだ自分を総くんに犯してもらう妄想に浸った。
私の穴が、総くんのモノを求めてキュンキュンと疼く。
舌が熱く疼いて、口腔に唾液が溢れてくる。
総くんのものを口いっぱいに頬張って、舐めしゃぶりたい。
「私は、総くんの……」
頭の中を、何かが横切った。
何故だか懐かしくて、涙が出そうになる。
もうすぐ、もうすぐ、私は…
快感と多幸感がごっちゃになって、私の中を突き抜けた。
気を失いかけた私の脳裏に、浮かび上がってくる光景があった。
あれは…。