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オナホールになった女
官能リレー小説 - 若奥さん

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オナホールになった女 29


 無表情で、ここではないどこかを見つめている総くん。
 両親が死なれ、その遺産を狙って蠢く親類たち。
 朗らかに笑う総くんから、すべてが失われていく……私は、そんな総くんを抱きしめていた。
「た、ま…ねーちゃん…?」
「…総くん、私と結婚しよ」
「え?」
「私が、総くんの家族になってあげるから。ずっと、一緒にいてあげるから」
「……」
 総くんは、しばらく私を見つめ……やがて、その顔をくしゃりと歪めた。
「た、ま…ねぇ…」
「約束だよ」
「うん、約…束」
 そして総くんは、私を抱きしめて、声を上げて泣いた…。


 ああ、そうか…。
 私、総くんを裏切ったんだ…。

 長かった新婚旅行も、今日でおしまい。
 フランスからスペイン・ポルトガルへと、春のヨーロッパ旅行の定番といえば定番だけど、素敵な旅行だった。
 私は、ちらりと適度な距離を開けて隣に立つ彼に視線を向けた。
 昨夜、私は彼に『あなたとは二度とセッ〇スしない。不満なら離婚してください』と宣言した。
 自分でもふざけた言い分だと思う。
 しかし彼は…。

 彼は、私の視線を感じていながら、私の方を見ない。
 彼はただ純粋に、この旅を楽しみ、目の前の光景に惹きつけられている。
 彼はすべてを知っていた。
 全てを知った上で、自分の居場所に満足していた。

『珠江は、彼のオナホールだろう。それが当然だ』

 私は、彼の言葉を思い出しながら、景色へと目を向けた。
 今夜飛行機に乗って、私は帰る。
 総くん、私の所有者のもとへ。 

 ぴんぽーん。
 こんな夜更けに一体…と、首をかしげながらドアを開けると。
「ただいま、総くん」
「珠ねぇ…」
 あれから、意識的に珠ねーちゃんのことを考えまいとしていたせいか、その不意打ちは俺を動揺させた。
「……」
「……あぁ、そういや新婚旅行って、今日帰ってくるんだっったっけ」
 動揺を取り繕うための俺のつぶやきに、珠ねーちゃんはかすかに微笑んだ。
 俺も、惰性めいた微笑みを返す。
 今、目の前にいるのは、珠ねーちゃんではない、何か。
 俺が、そうした。
「おかえり、珠ねーちゃん」
 もう、俺の心は落ち着いていた。
「……」
 珠ねーちゃんは俺をしばらく見つめ…。
「……どうした…の?」
 いつの間にか、俺よりも身長が低くなっていた。
 いつの間にか、俺よりも体重が…ゲフンゲフン。
 なのに、珠ねーちゃんは、あの時と同じように俺を優しく、しかし強く抱きしめていた。
「……ごめんね、総くん」
「……何が?」

「私…総くんとの約束、破ったよね」
「……子供の頃の話じゃないか」
 なんのこと?と、答えるべきだっただろうか。
 多くを省略した問いかけに対して応えたことで、かえって俺のわだかまりを珠ねーちゃんに伝えてしまったのかもしれない。
 ぱたん。
 ドアの閉まる音。
 珠ねーちゃんが後ろ手で閉めたようだった。
 随分と冷静だな、などと俺は考えた。
「私、総くんのお嫁さんなのに…家族だったのに…何、考えてたんだろう」
「だから、子供の頃の話だろ」
 多少、口調が尖ってしまった。
 珠ねーちゃんの外見、珠ねーちゃんの記憶を持っていたとしても、もう、これは、珠ねーちゃんではない。
 今となっては、すべてが腹ただしいだけだ。
「私は、総くんのお嫁さんで、家族で…」
 まだ言うのか。
 すっと、珠ねーちゃんの手が、俺の手をつかんだ。
 そしてそのまま…。
 くちゅり。
「淫らなオナホール…だよ」 
 俺が、あの時まで知らなかった牝の表情。
 ドアを開けた時から、そうだった。
 くちゅり、くちゅりと、俺の手を濡れた股間に押し付ける、オナホの頬をはった。
「つけあがるな、オナホの分際で」
 微かに、オナホの視線が泳ぐ。
 その顔を両手で挟むようにつかみ、睨みつけた。
「お前は俺のなんだ?言ってみろ」
「私は、あなたのオナホールです」
「そうだ」
 それ以上は求めない。
 あの時、いや、本当はオーダーメイドの注文を出したとき、珠ねーちゃんとの別れは済ませた。
 オナホは、ただ単純にオナホとして扱う。
 オナホの両肩に手を置く……と、察したのか、オナホは俺の前に膝まづき、ズボンに手をかけた。
 俺の了承を得てから下げる。
 だらん、と垂れ下がったままの俺のチ〇ポを見て、微かに表情を歪めるオナホ。
 俺は、勘違いしてるらしいそいつの頬を、もう一度張った。
 何も言わず、ただ虫を見るような視線を与える。
「……ご奉仕、いたします」
 そう言って、オナホは俺のモノに舌を這わせた。

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