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中出し帝国
官能リレー小説 - ファンタジー系

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中出し帝国 22


「私の名前はシエラ。お心遣い、感謝致します。」

 と、沈黙を破って女性が名乗った。シエラというらしい。
ようやく上げた顔には少し力が戻り、意志の強さを凛と感じさせた。

「そう、シエラっていうのね。私はルル。」

 ルルはシエラの様子を見て、名乗りを返した。
落ち着きが戻った所で、ルルは先程から疑問に思っていた事を尋ねた。

「あなたのような人が、何故こんな所で犯されていたの?」

「は。…実は先日、私の隊はウルヴァンス大聖堂の警備を任されていたのですが、その…私の大事な部下が聖書を汚してしまいまして、私はその責任を取ったのです…………くっ、メアはいったい何処に連れられてしまったのだ。」

話しながら、拳を強く固めるシエラ。おそらくは、その人が聖書を汚したのだろう。

毎年、ここレストリア帝国には数人の女性が売られて来るが、理由はさまざまである。

親殺し・密売・テロ等による国外通報だったり、他国の奴隷商人が売ってきたりする者もいた。
流石に、物を汚したぐらいで売られてしまうケースは初めてだったが、余程の代物だったのか、シエラは述べ終わるなり俯いてしまった。

「………。分かってるとは思うけどね、もう貴女は国には二度と戻れないわよ?一生ね。…それで、貴女はどうするの?一生私達と一緒に男の忌み者として過ごすか、それとも…死んじゃうか。残念だけど、それしか無いわ。」


敢えて、ルルは冷たく言い放った。傷の舐め合いなどをしていても、そんな繋がりの関係なんてすぐに冷めてしまうかも知れない。自分が産んだ子供を見て、自ら命を絶った者もいたからである。だからこそ、ルルはシエラに問う。ここで生きていけるか、それとも死に絶えるか。まずはそれの確認だった。


「少し待ってくれ。先程、貴女に無礼を働こうとした馬鹿者を、たわけていたとはいえ、それを一瞬で消せる程の者を従えているのに、どうして貴女はこの国を変えられない?」


ルルは苦虫を噛み潰したような顔をする。

「…私に、じゃなくて、お父様に仕えているからよ。あいつらは。お父様は、何を考えてるのか分からないし、多分私の事を娘とも思っていないんじゃないかしら?思っていたら、こんな法律なんて取っ払えてるでしょうし。」

「………富国強兵、か。」

「…そうね。」

(でもきっと、あのお父様の事だから、きっとそれだけが理由なのでは無いんでしょうけどね……。)


「分かった。私は生きる方を選ばせて貰う。」

「どうしてよ?」


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