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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 186



コンッコンッ
重い木の扉にノックが響く。「空いてるわ」
「失礼します」
「ようこそ、ヴェルナルド…」
広い部屋の中にはレイナが一人、執務をこなしていた。
「ヴェイルで結構ですよ?」
「そう、ならヴェイル。率直に聞くけど、魔王様へ忠義って感じてる?」
「……そうですね。正直、あまりないです。僕が産まれた国は最悪の王でしてね。だからか僕はあまり、忠義自体をもたない性格のようでしてね」
「…なら、話は早いわ。一緒に魔王を消して理想郷を創らない?」
「本気…ですか?」
「ええ…いや?」
「ふふっ…はははっ」
ヴェイルは大きな声で笑いだした。
「…?」
「はははぁ…いえね、僕と同じ事を考えてた人がいたんだなぁとね」
「じゃあ」
「ええ…ご協力しましょう♪でも消せるんですかね?」
「ふふっ…そのための力ならあるのよね。今はまだ秘密だけど…」
そう言い、レイラは悪戯っぽく微笑んだ。


「…では、レイラさん。この儀式は僕が一度、死なないといけないんでブスッと殺っちゃって下さい」
「本当にいいのね?」
「ええ…ただし、身体は綺麗にしといて下さいよ?」
「分かってるわよ。でもノスフェラートになんなくたってあなた、十分に強いじゃない?」
「ありがとうございます。でも…超えたいんですよ、人の限界をね…では、始めます」
ヴェイルは呪文を唱え始めた。
そして…
「…レイラさん、今です!」
「失敗しても恨まないでねっ!」
レイラの右腕がヴェイルの胸を貫いた。
「ぐぅぅ…」
ヴェイルは呻き、逝った。
「………失敗?」
その時…
ビクッン……ドクッドクッ…
ヴェイルの身体が跳上がり、鼓動を刻み始めた。
「………ふぅ…死ぬのも悪くないですね。一種の快楽を感じましたよ」
「転生して早々、気持ち悪い事を言わないでよ!失敗したかと思ったじゃない!」
「すいませんねぇ…ま、成功したって事で…ご協力ありがとうございました♪」
こうして死者達の王『冥法皇』ヴェルナルド・シルヴァが誕生した。


魔界軍、戦略会議…
『報告します!アークエンジェル大隊が獣族の集落・ヘルタへの侵攻を確認!』
「ヘルタですか!?」
ヴェイルが大声をあげる。
「知っているのか?ヴェルナルド…」
「はい、魔王閣下…この集落は獣族の内乱の時の避難民達の村です。魔界軍とは特別な関わり合いはありません。恐らく魔界への侵攻拠点にするためでしょう」
「それは私が主神・メロスとの間に交わした『法』に反するな、魔界司法管理軍将軍?」

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