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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 231

サイの言葉に反応したシュバルが顔を上げると、血走った目で周囲を見渡した。
「諸君っ!観客を避難させろ!急げっ!」
「反逆…者は…殺さねばなるまい…。王たる私が、シュバル・オルグランがっ!ガァァァァアアアッ!!」
雄叫びを上げたシュバルの身体が、異形の物へと形を変えていく。原型を留めないほどに膨張した肉体は、人ならざるものへと変化した事を物語っていた。
「ジュダ様っ!」
そこへ、ジンとマリーが駆け付けた。
「ジン君!リグール君とクリスは!?」
「こちらに向かっていますが、どちらも先程の戦いでかなり消耗しています。リグールなんか半分寝ながら走ってました。」
「このタイミングを狙っていたのか…」
舌打ちをしたジュダが再びシュバルに視線を戻すと、禍々しい力はさらに増している。

「グルルルル…ワシが行こう。」
「獅子王殿っ!」
「白虎からおおよその話は聞いておる。無力化して、人の王にトドメを刺させれば良いのだろう?」
「し、しかし、獣界の王にそのような事を!」
「構わぬ。」
大混乱の中、サイの姿が見えなくなった事に一早く気付いたのは、リリアンだった。ランドルフが観客の避難を優先させている時、リリアンはサイを追い掛けて飛び出したのだった。
闘技場の廊下でサイに追いついたリリアンは、剣を抜いて声を上げた。
「待ちなさい!」
「やぁリリー…」
振り向いたサイは、下卑た笑みを浮かべた。
「サイ、アンタ何しようっての!」
「復讐。ランドを死にたくなるように追い込んでやるんだ。」
「アンタってやつは…」
「リリー、君を待ってたんだ。君はね、生贄なんだ…」
「知らないわよ!ランドに手を出すなら私だって本気でアンタを…」
サイが手にしていた本を開こうとすると、リリアンは剣を振りかぶって斬りかかった。
「リリー!?リリー!?」
観客を誘導している最中、強烈な胸騒ぎと不快感に襲われた。直感的にリリアンの身に何かあったと悟ったランドルフは、駆け出したのだった。


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