ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 942
「ああごめん、そんなに時間たったのかな…」
ゆっくりと身体を起こす。
外の光は遮断された部屋だから、時計があるか探してみる。
「まだお夕食の時間には早いですけどね」
「それならよかった。一瞬寝過ごしたかと思ったよ」
「ふふっ」
軽く冗談を言ったら澪さんはクスッと笑った。さっきの顔とは一変、いつもの彼女だ。
起き上がろうとする僕を制し…「ちゃんと綺麗にしましょうね…」と、暖かいタオルで僕の全身を拭いてくれる澪さん。
ヤル前は見られることがあんなに恥ずかしかったのに、今ではそんなこと微塵も感じない。
すっかりと収縮し、皮さえ被ったソコの方がよっぽど恥ずかしい筈なのに;…全てを晒け出した今となっては、そんなこと大したことじゃないって…なんだか思えてしまう。
それだけ澪さんとは深い仲になれたのかな、と感じる。
初対面のときにあれだけ激しいセックスをして、そして先ほどの時間だ。
それならもう隠すこともないだろう、ってね。
「澪さんは夕食会には?」
「私なんかとても…それにここを空けるわけにはいきませんから」
「そうなの?…そんな時間に客なんて来ないんじゃない?」
僕は隠しておいたあのパンツを掃きながら聞く。
「そうでも無いんですよぉ…夕食後はご主人様がお使いになることが多いので、それを避けて来る人は案外多いんです。」
ああ、そういうことね。
和彦さんが一番したい時間にかち合わないよう、スタッフの方々は時間の工夫をされているんだな。
「澪さん以外にマッサージのスタッフは」
「交替制で数人いるんだ」
「勤務時間も不定でしょうね」
「でも、やりがいは普通のお店よりもあるし。ここだけの話、お給料もいいんだよね」
「澪さんらしいです」