ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 825
おっとそうくるかぁ;…
「その心配はいらないよ…検索かければちょいちょいで終わると思うからさ…」
「それなら家のPC使って下さいよぉ〜、まだ時間はたっぷりありますからぁねぇ!」
そうだった;…
家とは違って、ここから会社まではそう時間は掛からないんだったよな;…
「会社に近くて安い物件を探して、巡り合った場所なんですよ〜。ちょっと寝坊しても大丈夫です」
「…葉月ちゃん、今まで何度寝坊したの?」
「秘密です」
僕はデスクの前に座りパソコンを起動する。
葉月ちゃんは洗い物をするようで、キッチンに向かった。
カチャカチャと食器を洗う音を聞きながらニュース画面を見る…
本当は調べなくちゃいけない項目なんて無いからね;…
でも余裕のある朝って、いいもんだよなぁ…
えっ?…
ぼんやりと眺める僕の目に飛び込んできたニュース項目に、自分の目を疑ぐってしまう…
『人気女優と若き辣腕経営者、深夜の密会』
…以前、お袋から聞いたことがある。
和彦さんと、有名な女優さんとの交際報道。
思わず記事をクリックして見てしまう。
『若き辣腕経営者』とはもちろん、和彦さんのことだった。
そして、『人気女優』の名は…花咲夢乃…
若かりし時の彼女のポスターに、散々お世話になった僕としては他人事では無い;…
「あらぁ、うちの社長じゃないのぉ…」
湯気の立つマグカップ片手に、葉月ちゃんが覗き込んできた。
「ああ…花咲夢乃とって…本当なのかぁ?…」