ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 826
「…前々から噂はありましたよねぇ…テレビにも追っかけられたとかって」
「花咲さんって、この地元出身なんですよね」
「ああ…ここまで売れるなんてなぁ」
「あら、匠さん、もしかしてファンでした?」
「恥ずかしながらね」
ポスターだけでなく、写真とかグラビアとか気に入って保存したものだ。
しかしそんな人が和彦さんと、とは…
「へぇ〜匠さんって、歳上にも興味あったんですね…」
まあ女子高生の妻がいるって知ってる葉月ちゃんにとっては、意外かもしれないな…
でも僕の原点は、お袋と同い歳の弥生さんなんだけどね;…
「ファンといってもかなり前のことだぜ…それこそ彼女がグラビアを飾っていた頃の話しさ…」
「そんな時代があったんですかぁ」
葉月ちゃんは目を丸くして答える。
女優として有名になってから知った人には知らない話だよな。
グラビア、脱いでもかなりの素材だと思ったもんだ、あの頃は。結構胸があったしね。
「夏子さんやゆかりさんと歳が近いはずですよ」
「ああ、そうだね」
となるときっと涼香さんとも…あの人もこの世界にいたから、つながりはあるのだろうか。
「会社に行ったら聞いてみよおっとぉ!…」
女の夏子さんやゆかりさんに聞いても、当時の彼女には興味無かったと思いますけどね;…
「あっでも…もしかしたら会社の周り、記者たちで騒ぎになっているかもしれませんね…」
確かに…
どうであれまだ和彦さんは涼香さんと離婚してはいない訳だし、これってある意味スキャンダルだもんな…
パソコンデスクから離れ、壁のハンガーに掛けられたスーツを手にする。
特に気になる匂いはない…今日もこれで大丈夫だろう。
「匠さんもそろそろ準備ですかぁ」
葉月ちゃんの声がしたので振り返ると…おい、上半身裸じゃないか。
まあ、普段は一人暮らしだからしょうがないのかもしれないけど。
こんなに無防備な娘さんだと、ちょっと心配になるね…