ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 792
「先輩って顔が広いんですねぇ」
いやそう言う意味じゃないと思う…新庄くん、君もそういう男だったのかい…
…また一人僕の部屋に寝泊りしそうな人間が加わりなんだかなぁというため息を吐く。
泊まるなら僕の部屋しかないのはわかってますけどね…
こうして、新庄くんは妹2人と意気投合したようでそのまま食事もともにするのだった。
その後、親父も彼のことを気に入ったようで…
「さぁ匠も一緒に風呂に入るぞぉ!」
そう言うと思っていたけど、やっぱりそうかよ;…
「いや僕はいいから、新庄と二人で入ってきなよ…」
「あれぇ先輩、何恥ずかしがっているんですかぁ?…さては自信無いんですねぇ〜」
新庄くん;…君、相当酔ってますよね?…;
「バカ、そんなことは…」
「じゃあ一緒に…」
「家の風呂は狭いから大人3人は厳しいんだよ」
美玲ちゃんのところとは違うんだよね…
新庄くんを親父になんとかしてもらい、ようやく一人で落ち着く。
「葵…どうした?」
新庄の方をボーッと見つめる葵。
「あっ…やだぁ…何でも無いったらぁ〜…」
おいおい;…それって誰から見ても分かり易い反応だと思うけど…
「葵姉ぇが惚れるのも分かるよなぁ〜新庄さんって目茶いい男だもん…」
栞まで目を輝かせて;…
また恭介の時みたいに、揃って新庄を喰うのだけはやめて下さいよ;…
新庄が親父と風呂に向かい葵と栞も自分たちの部屋に戻るのを確認すると僕は普段やらない洗い物をこなして食器を片付ける。
毎日これを難なくこなすお袋は偉大だと改めて実感する。
だからこそゆっくり羽を伸ばしてもいい…今日はどこに行ったか知らないけど誰も文句は言わない。
みんなが風呂を済ませたのを確認して、僕が一番最後に入る。