ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 624
「安心してください、誰がどこでナニしていたというのはご本人以外には口外していませんから!」
満面の笑みで僕に言う恋ちゃん…
それって、『私、全部見ちゃいました!』って言ってるようなもんですよ…
この娘こそ、青山家最強の存在なのではないかと僕は思うのでした…
そんなこんなで予定より早く帰ることになる。
「せっかくお帰りにぃなられたのに…もう帰られるなんて…寂しいです…」
「桜ちゃん…気持ちは私だって同じだぁよぉぉ…」
抱擁しながら涙を流す香澄と桜ちゃん…
周りのメイドちゃんたちも、眼を赤く染めている…
これってなんだか…下手な小芝居見てるみたいだななんて言ったら…怒られますよね;?…
でも…みんな香澄を慕ってくれて、本当にいい子達なんだなぁって思ったりもする。
香澄が無事子供を生んでくれたら、すぐにでもここに住む準備をしなくちゃな…
ちょっと長い別れの挨拶を済ませ、家へと続く下り坂を歩く。
「がんばって、赤ちゃん生んで、お屋敷に住みたいな」
「はい!」
さっきの涙とは正反対の表情。でもそんな香澄の笑顔が一番好きだ。
「でも、その前に、解決させなくてはいけませんね…」
香澄は真剣な眼差しで僕に言った。
「ああ…ちょっと怖いけどな…」
僕は汗ばんだ手で香澄の掌をぎゅっと握る。
そうしないとガタガタと身体が震えてしまいそうだった…
もし美恵子さんが双子を産んだとしたならば、僕のお袋は実の母親では無いということになるのだ…
28にもなる僕だけど、やっぱりその現実はキツ過ぎるよ…
「匠さんは黙っていても大丈夫です、なんならその場にいなくてもいいと思ってます。ご両親には全て私から説明しますから」
「いや、そう言われても…僕に関わることなんだし」
「匠さんは私の、家庭の事実をお一人で突き止めたんです、今からは、私が匠さんのために尽力するときと思ってます」