PiPi's World 投稿小説

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

の最初へ
 508
 510
の最後へ

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 510

「ん?…どうした?」
「家を空けてしまってる間…ずっとお父様のことが心配でした…」

「香澄…」
「いろいろあったのに…ゆっくり話しをする時間も取らずにごめんなさい…」

「いいんだ、いいんだそんなことは…」

和彦さんは、香澄の頭を優しく撫でる。
「私のことなど気にかけなくても…香澄が幸せなら、それでいいんだ」
「お父様…」
香澄の瞳に涙がじわっと溜まる。

和彦さんと香澄に、血のつながりはない。
それでも、それ以上に、親子としてのつながりがあるように見えた。

香澄は香澄なりに、僕には言えない葛藤があってんだと今更にして思い知らされる。
父親だと思っていた和彦さんの、実の息子である僕と結婚するって、僕よりも心中は複雑かもしれないな…

ごめん…香澄…
僕は香澄と和彦さんの元に歩み寄り、その2人の身体を包むように抱き締めた。

「匠くん…」
「匠さん…」

「2人とも、さぞ苦労が多かったと思います…これから、力不足とは思うけど、僕も一緒に…」

「ああ…匠くんが香澄と結ばれたことで、私もやっと安心できた、そう思ったよ」
「お父様…」
香澄の我慢は、そこで限界を超えた…

大粒の涙を零し泣き崩れる香澄を、僕はしっかりと支える。
そういう僕も、心中の不安からか一緒に肩を震わせてしまう…

「苦労が多かったのは匠くんも一緒だ…これからは我慢せずに、何でも話してくれよ…」
和彦さんが僕の背中を擦ってくれる…

その優しさに僕の涙腺は崩壊してしまう…
香澄が身重のことも、自分が28にもなる大人の男だということも忘れ、迷子の子供のように泣いてしまった。

SNSでこの小説を紹介

年下の他のリレー小説

こちらから小説を探す