ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 490
そんな話しを聞くと、こんないい子になった今の香澄が信じられないよね…
もしかするとその時だって、香澄は香澄なりに何か理由があってのわがままだったのかもしれないな…
「お帰りなさいまぁせぇ〜お嬢様ぁ!!」
駆け寄って来るのは桜ちゃん。
「あ〜桜ちゃん!会いたかったぁ〜!」
香澄も桜ちゃんめがけて駆け出す…いや、それはお腹に負担が…
「桜ちゃぁ〜ん!!」
「お嬢様ぁ…」
抱き合う親友同士。
ああ、見ていると感動しちゃうねぇ…
「だいぶお腹も大きくなってきましたね…」
「生まれたら、桜ちゃんも一緒に、ね?」
「はい…」
おいおい、お人形遊びじゃ無いんだからさ。
「さあ匠さんもお入り下さい。弥生さんがブランチを用意しておいでですよ。」
「あ、朝飯は充分に食って来たんだけど…」
「うわぁ〜楽しみでぇす〜!弥生さんのご飯は、世界一美味しいですもん!」
香澄…その言葉、さっきも言ってなかったか?…
まあ、元が良く食べる子だし、出産前にたっぷり栄養は取らないとね…
楽しそうに並んで歩く香澄と桜ちゃん、その後ろに続いて僕は杏さんやメイド2人とお屋敷の中に進む。
「みんなでいただきましょうか」
杏さんがそう言って、食堂へと向かう。
「あのぉ…こないだも思ったんですけど…皆で一緒に食事していいんですか?…」
僕は小さな声で杏さんに聞いてみる…
「ご家族と使用人がってことですよね?…」
「あ、まあ…」
「ご主人様がそうして欲しいとおっしゃっられて…
あの方もああ見えて、奥様に裏切られたことが相当ショックだったんだと思いますよ…」