ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 458
「今回もお披露目させられちゃったんですか〜?」
興味津々といった顔で湯呑みを置く沙織ちゃん…
女の子ってこういう話題、結構好きだったりするんだよね;…
「仕方ないだろ…マネキンが穿いた姿じゃ味気ないって言うからさ…」
僕はその話題を流すように、つっけんどんに答える…
「ふ〜ん…見たかったなぁ、匠さんの下着姿」
「そう人に見せられるようなもんじゃないよ…」
出来ればやめて欲しいって思ってるのになぁ。
「なんか、不公平なんですよ」
沙織ちゃんが急に神妙な表情になる。
「どうした?」
「商品の原案を出して、デザインして、形にするのは私、デザイナーの役割です。でも、商談には立たせてもらえないんです…アピールしたいことはたくさんあるのに」
「それは立ち会うべきじゃないか?…夏子さんに言ってやろうか?…」
僕は湯呑みをふぅーふぅーしながら、何気に言う…
「それならもう何度も言ってるんですよぉ〜、それなのに夏子さんたら…」
おっ、仲良しこよしだと思っていたけど、やっぱり上司には不満があるって訳か…
夏子さんが言うには、沙織ちゃんは自分の仕事に専念してくれればいいとのことで。
営業やプレゼンはゆかりさんや夏子さん、それに僕が引き受けて行うから、と。
もうひとつは沙織ちゃんがまだ若い(ウチの部では2番目)ということ。
重要な商談の場では若手は厳しいと夏子さんは思っているようだ。
しかし、沙織ちゃんはそれに納得行っていないようだ。
うーん…僕は、どちらの意見ももっともだと思うけれどねぇ…
「まあ折を見て、僕からも夏子さんに話してみるよ…
お堅いクライアントならまだしも、僕が一人で営業回りする時は、絶対沙織ちゃんに同行して欲しいもんね…」
「えっえ、本当ですかぁ〜?!それなら匠さんのパンツ姿、見れるんでぇすね〜」
おい;…それが狙いかよ;…