ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 452
我が部署の唯一の男である僕は、言わば強制的に取り扱っている商品を穿くことを義務付けられているもんな…
しかも最近は、取り引き先の前でその姿を披露しなくちゃならないことだってあるからね;…
まあ相手だって、決して厭らしい考えで見る訳じゃないから、売れる為には仕事だって割り切らなくちゃいけないんだけど、やっぱり会議室で僕一人がパンツ一張でこのモッコリを晒すその恥ずかしさは、拭い切れないもんがあるんだよね;…
まあそれも仕事だからと割り切ることもできるんだけど、さすがに毎日このキツいパンツを穿くのはちょっと辛い。
だぼだぼのトランクスが恋しくなることだってあるのだ。
「ありましたよ〜、匠さん!」
ちょうどアンナさんがやってきた。
「お好きなのを選んでください!」
ああ、なんて可愛くて優しい奥さんなんだろう。
柄はともかくとしても;…このゆったり加減は僕にとっては恋しいもんなんだよね…
今の若者が見た目重視でトランクスを一枚も持っていない奴が多いってことに、意見したい気分にもなるんだな…
そもそも日本人は、風通しのいい褌から下着っていうものは始まったと言ってもいいんだろうから…この先…トランクス自体も褌みたいに、過去の異物になったら大変なことと思ってしまう僕は…もはやおじさんの域に達しているってことなんだろか?…
…四捨五入すれば30である。
啓くんの年代と話があわないのだから、自分が歳をとったものだと痛感させられる。
「そういえば、失礼な話だけど…」
「なんです?」
パンツを穿いて、パジャマを着ながらアンナさんに話しかける。
「アンナさんって、おいくつです?」
「25ですっ」
「なんだ歳下だったんだね…」
「はい…匠さんとっても若く見えますから、私の方がお姉さんに見えますよね…」
確かにスーツを着てればまだいいけど、GパンにTシャツなんかだと、大学生そのものだもんな…
「いや僕がって言うより、日本人が海外の人に比べると若くみられがちだよね;…」