ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 437
「うふふ、アンナったら積極的ね〜」
そう言う遥さんまで僕にもたれかかってくる…
2人して、僕に何を期待しているんですか。
気づけば、日本酒の瓶はすっかり空っぽになっていた。
この2人のハイペースを物語っている。
「ワインもぉありますけどぉ〜飲みまぁすぅ〜」
僕の膝小僧を柔んわりと触りながら、アンナさんが言う…
「ぁ…;ぼ、僕はもういいですけど…」
ゾクゾクとはい上がるような感触に堪えながら、僕は答えた…
「あらぁどうしたのぉ?…今日はぜんぜん飲まないじゃない?…」
耳元で囁く遥さんの吐息に、ピクッと身体が反応してしまう…
このまま勢いに乗って溺れていくのもいいだろう。
しかし、その相手が遥さんというのが…僕にはトラウマのようなものがぶり返してくるのだ。
「さあさあ、匠さん、男らしくグイッと!」
それを知らないアンナさんは上機嫌そのものだ。
…しかし、踏ん切りがつかない。
「…気にしなくていいよ。匠くんらしくない」
遥さんの、さっきとは違う真剣で、落ち着いた声。
僕“らしく”ないか…
まあ遥さんから見たら、僕は後先考えない陽気で軽い奴なのかもしれないけどね;…
「分かりました!分かりました…今日はとことん楽しみますよぉ!」
女性2人にここまで言われて、引き下がる訳にもいかないもんね;…
僕はアンナさんが持って来たワインのボトルを鷲掴み、そのままゴクゴクとラッパ飲みした…
「ふふふ、それでこそ匠くんね〜」
「匠さん、男らしいです!」
何か満足したような顔の遥さん、瞳をキラキラさせて見つめるアンナさん。
それだけでもう、気分は高ぶる。
アンナさんは次から次へお酒をグラスに注ぎ、皆でそれを飲み干す。
いつも通りその途中で記憶は途切れている…