ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 303
それでもやっぱり照れてしまう…
「そんなこと言って貰えると目茶嬉しいですけど、僕は伊藤さんのように、顔の掘りも深くありませんですし、手足だって長くは…」
「ううん…容姿のことを言ってる訳じゃないの…二人から醸し出される雰囲気が似ているのよ…」
「雰囲気ですか?…」
「ええ見た目だったら、和彦さんとの方がよっぽど似ているは…」
ドキッ…;
…涼香さん、それは知っていて言ってることなんですか…!
「そうか、匠くんは僕にも、和彦にも似ているのか…」
伊藤さんまで何を言い出すんですか…!
「ええ、だから、匠さんのことが、とても他人とは思えなくて…」
…涼香さん…
「この際だから言っておくけどよ…俺、青山隆三の隠し子だったりするんだよね…」
「青山隆三?…」
「和彦のおじいちゃん、だからアイツ…俺の甥っ子だったりするんだ。」
「へぇ?!、ちょっと待ってくださいよ!、、伊藤さんの家って代々青山家に仕える庭師なんですよね?」
「ああ、昔っから青山家の人間に逆らうことなんて出来ない…そういう関係なんだ。」
…耳を疑うような話だった。
まさか、伊藤さんにも青山家の血が入っていたなんて。
…しかし、それで伊藤家は代々青山家の庭師を勤めている。
納得のいく話にはなるだろう。
「涼香さんは…ご存知でしたか…?」
恐る恐る、僕は聞いた…
「そうね…青山家のような古い家では、主君と家臣という主従関係が脈々と今の時代にも受け継がれているのね。」
冷静にタルトを口に運ぶ涼香さんをみると、それは以前から知っていたということか…。
「伊藤さんが和彦さんと血が繋がっていることも…?」
僕は続けて疑問をぶつけた…
「そりゃあ、宏さんと和彦さんは一つしか歳は違わないのに、叔父と甥っ子だなんて、始めは驚いたはぁ」