ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 214
…
…ドスン!!!
「い、痛てー…」
目が覚めた原因…一目瞭然。
ベッドから落ちたのだ。
苦しい体勢で、それなりに寝れはしたが、やはりこうなったか。
啓くんはベッドに大の字になって爆睡中。
…まったくこれではどちらが主なのかわからない。
頭を抱える僕の目に飛び込んできたのは…
僕の貸したやったあのパンツに出来たテントだった…;
"まあ若いんだから、仕方ねぇかぁ〜"
と、百歩譲って許してやろうかと仏心を出してやった僕の前で、こともあろうに啓くんはパンツの中に手を突っ込む…
ちょ、ちょっとそれだけは勘弁してよ,…
僕は慌ててシ―ツを引き寄せ、ドスンと啓くんをベッドから引きずり落とした…
…若いというのか、神経が図太いというのか。
ベッドから引きずり落としても啓くんは目覚めず爆睡中。
「まったくよー」
あ、手の動きは止まった。一安心。
がら空きになったベッドに横になる。
啓くん、悪いね、悪気はなかったんだよ…
温もりの残る布団は、どこか安心する…
子供の頃…怖い夢を見て、親父の布団に駆け込んだことを思い出す…
"大丈夫…父さんが何時も側にいるからな…"
あの時の親父の言葉が突如蘇る…
僕は込み上げてくるものを抑えきれず…声を殺し、肩を振るわせた…
…翌朝…
目を覚ますと、隣で啓くんがいそいそと制服に着替えていた。
「おはよー」
「あ、おはようございます」
「お兄さん、酷いっすよ…」
「何が?」
「目が覚めたら僕下に落ちてるじゃないですか〜」
「君が勝手に落ちたんだよ」