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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 170

「匠さんの仰ることも一理あります…いえ、むしろその方が正しいかもしれません」
杏さんは神妙な表情で言う。
「…私もそう思うところはあります、しかし、今お嬢様のいる環境は、旦那様と奥様が決め、お嬢様もそれでよいと判断した上での状況であって、私どもが口を挟むことなど…」
…そうだよな。
杏さんもメイドちゃんたちも、香澄ちゃんにとって大切な人ではあるけど、ある意味では部外者なんだよな…

そういった意味でいえば、僕なんかはもっと部外者かもしれないよな…
婚約者だなんて言っているのは香澄ちゃんだけで…そもそも初めは、金で雇われた婚約者に過ぎないんだもんな…
多分和彦さんはそんなことお見通しで、お袋のことが無かったら、もっと軽くあしらわれていた気もするし…

「そんな寂しそうな顔をしないでよ、匠くん」
「弥生さん…」
いつの間にやってきたのだろう、弥生さんが隣に座る。

「香澄ちゃんは匠くんを必要としてる。匠くんもそうでしょ?私たちだってそう」
「はあ…」
「旦那様…和彦くんと奥様を動かせるのは、匠くんしかいないと思う」
「でも、僕に何が出来るんでしょう…」

「それを知るには、匠くんにも覚悟が必要ね…」
「覚悟ですか?…それって…?」
「知ってしまったからといって、必ずしも二人にとってはいいこととは限らない…多分匠くんは後悔すると思うは…」
「何なんです?…僕は香澄ちゃんの為にだったら、どんな現実も受け止めますよ…」
「そうよね…あの時私も操に言ったのよ…匠くんにはちゃんと真実を伝えるべきだって…」

…なんだろう
お袋が僕に何を隠しているのか、今まで全く知らなかったし、そんなことがあるのすらわからなかった。

「どういうことです?」
「…本当は操から話すべきだろうけど、あの子は絶対言わないだろうね…」
弥生さんは思案顔で言う…

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