ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 132
「あ、はい…」
はだけられたシャツやズボンを脱ぎ、パンツ一枚だけの姿になる…
これを下ろすのは流石に躊躇する…
それでも雪ちゃんが浴室に向かい背中を向けている隙に、素早くそれを踝から抜き取り、置いてあったタオルを腰に巻いた。
浴室。
立ち込める湯気に、ほんのりヒノキの香り。
…まるで温泉旅館のようだ。
「匠さん、そちらに腰かけてください」
雪ちゃんに指さされたのは大きな鏡の前。
その近くには、シャワーと洗面器、シャンプーなどが置かれていた。
雪ちゃんに言われるがままに木製の腰掛けに座る…
当然のことながら膝が大きく左右に開き、腰のタオルは捲れ上がった。
だらんとだらし無く垂れた二つの玉が目の前の鏡に写り込んだのが分かり、僕は慌ててソコをタオルで隠した。
「隠さなくていいですよぉ。男の人のなら見慣れてますから」
「いや、そういうこと言われてもね…」
さらりと言われるとビックリするじゃないか。
雪ちゃんは僕の背中からゆっくりとスポンジを使って泡立てて、身体を洗ってくれる。
「雪ちゃんって、香澄ちゃんにもこうしてるの?」
「ええ、毎日ではないですけどね」
なるほどね。
『一人でお風呂はいったことない』てのはこういうことだったのね。
妙に納得した僕の体は、突然にピクンっと跳ねた…
それは和彦さんが言っていた通り、雪ちゃんのスポンジ捌き故だった…
皮膚に触れるか触れないかの絶妙な位置で行き来するそれは、僕には背中にまで性感帯があったのかと、思い知らせれた程だった…