ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 12
香澄ちゃんの下着はシンプルなものだった。
あまりファッションとかに気や金を遣うタイプじゃないのかな?
しかし、レース生地の触り心地なんかから、やっぱり有名ブランドのいいものを着ているんだろうなぁ、と思った。
服とスカートを拾う。
…あれ、学校の制服だったんだな、これ。
私立の有名お嬢様学校なのかな?
すべて持って浴室を出る。
「おーい、香澄ちゃん、脱ぎ散らかしたまんまだぞ〜…」
部屋に戻る。
「はぁ…あぁああ…っぁああ」
スイートルームのベッドの布団をかぶった香澄ちゃんが、なにやら甘い声を上げているのに気づくのにそう時間はかからなかった。
そして、ベッドの向こうからは、クチュクチュという妖しい音も…
…香澄ちゃん、まさか…
僕は顔を顰めながらも、耳を澄ます。
水分を含んだ何かを擦るような微音は、規則正しく響いてきた。
…マジかよ?
それは明らかにそうだと思え、僕がいるにも関わらずそんな行為に耽る、香澄ちゃんが信じられなかった。
それでも、この数時間の香澄ちゃんの奇行をみると、それも確かにありうる事だった…
…どうすりゃいいんだ、僕は?
このまま見なかったこととして、別の部屋へ移動するか?
それとも、香澄ちゃんの行為に…参加するか?…
衣服を硬く握り締めた僕の腕の下方では、トランクスのテントの帆が、段々に持ち上がってきていた。
「あぁあん…あっ、ああ…」
妖しい微音に呼応するように、香澄ちゃんの甘い声がする。
股間の興奮は尋常ではなくなってきた。
しかし、ここで逃げたりなんてしたら男じゃない。
僕は何も知らないふりをしてベッドまで歩みを進める。
足音が聞こえたのか、香澄ちゃんは『行為』をやめてガバッと飛び起きた。
「たっ、匠ひゃあん!?」
…明らかに動揺していた。
「どうしたのかな?」
「あ、あ、いや…別に…」
「さっきまで、何をしてたの?」
「…い、いえ、な、なにも」
声は動揺を隠せないし、視線は部屋のあちこちに泳いでいる。
どうやら、香澄ちゃんは嘘をつくのが下手なタイプのようだ。
「…いつから部屋にいたんですか」
「え、さっきだけど」
香澄ちゃんは顔を真っ赤にして俯く。
「あ、あぅう」
香澄ちゃんは置いてあった枕で顔を覆う。
…表情がコロコロ変わるな、この子。
しかし、そんなところがまた可愛いと思ったり。
僕は香澄ちゃんのいるベッドに向かい、隣に座る。
そして香澄ちゃんの頭を優しく撫でた。
「匠さん…」
香澄ちゃんが、僕のほうに身体を預けてきた。