ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1074
罰が悪そうに鼻の頭を掻く新庄…
嘘でも否定して欲しかったけどな;…
「あらぁそれを言うならなんで…ここに匠くんがいるの?…って話しになるじゃないですかぁ…まあここはお互い大人っていうことで…」
話しを収めようとする遥さん…
だけど僕は納得がいかず新庄を睨みつける…
そんな僕の肩を美月さんがポン、と叩き
「ココは落ち着きましょ」
と宥める。
確かにここで何か起こしたら面倒だし、子供だと思われそうだ。
この後はずっと無視してればいいだけの話…
会社までの車の中は余計に長く感じ、気まずさは半端なかった。
まあ美月さんや遥さんは、新庄とお袋のことを知らない訳だし、なんでここまで僕が不機嫌になっているのか疑心に思っているだろうけど…
嫌な空気の中で車は会社に到着する。
遥さんへのお礼もそこそこに、さっさと車から出る僕の後を新庄が追ってきた。
「待ってくださいよ先輩!…一体どうしたって言うんです!」
その言葉を無視して僕はひたすらオフィスを目指す。
新庄の言葉など聞きたくもなかったのだ。
まさか遥さんはアイツと一夜を…またなんで…
新庄は追いかけてくることはなかった。
途中で美月さんが止めたのだろう。彼女も何か言いたげだったようだし。
「おはようございます、匠さん」
沙織ちゃんの声を聞いて、ようやく落ち着きを取り戻せた気がした。
「おはよう沙織ちゃん…電車は大丈夫だった?…」
あの事故の影響を受けていたら、こんなに早くはに来れないだろうけど…
「ええ、運良く事故の前の電車に載れたみたいで…、匠さんこそ大丈夫だったの?…」
「ああ、僕はなんとかなったよ…それより他の皆は遅刻かな?…」