ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1073
うーん、そこで新庄の名前が出てきますか。
「彼、この近所に住んでるの」
「そうですか…」
「困ったときはお互い様だしね」
…ちょっとあいつは、今顔を合わせたくない、それでも美月さんはこう言うし、今は毛嫌いしてる暇はない…
「匠くんと美月さん、珍しい2人組ですね」
「あれ、遥さん?」
近くのコンビニの駐車場から遥さんが声をかけてきた。
まずいよな;…
美月さんはともかくとしても、僕がこんな所に朝っぱらにいるなんて…おかしいもんな;…
「遥ちゃんこそこんな所でどうしたのぉ?…、確か遥ちゃんの家ってここからは反対方向よね?…」
あ、そうなんだ…
反対方向なら、たまたまでもこのコンビニには寄らないよな…
「ふふっ、たまたまですよ……」
笑って済まそうとする遥さんだが、美月さんと僕と2人でジトッとした視線を送る。
「……な、なんですその目は」
「いや、ちょっとね」
「や、疚しいことなど何も…お二人だって…まあ、特には聞きません、お互いに」
話を切り替える遥さん。
「それより電車動きそうにないですよね?私車なんで会社まで乗って行きます?」
「それじゃお言葉に甘えて…いいかな?…」
電車が何時動くか分からないんじゅ、お願いするしかないもんね;…
「もちろんですは…でもちょっと…連れが今、買い物しているんですけど…;」
ふへぇ?…連れって…?
美月さんも首を傾げる。
入店ブザーとともに扉があき、その「連れ」が顔を出したようだ。
「あ、おはようございます」
……新庄だった。
まさか遥さん…
「なんで君が一緒にいるのかしらね」
美月さんが僕の気持ちを代弁するかのように言い放った。