ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1058
「うわぁ凄い!!…」
部屋の中に皆の歓喜の声が沸き上がる。
「早速ゆかりさんと夏子さんに報告しなくちゃぁ!」
生憎ゆかりさんと夏子は外出中だ…
トゥルトゥル…と携帯が尻のポケットで揺れる…
「ん?…誰からだろう…?」
画面を確認したが番号だけで誰からなのかわからない。
「…誰だ?」
不思議に思いながらとりあえず出てみる。
「もしもし…」
「匠くんかい?仕事中にごめんよ」
「和彦さん!?」
電話の主が主だけに、僕は慌てて席を立ちオフィスを出て廊下へ。
「スズタとの話、見事に成立だよ。これも匠くんのおかげだよ」
「ぅわぁ;…そ、そんな恐縮しちゃいますよ;…」
「いやいやほんとだよ、スズタとの契約は長年我社が熱望していたことだからね…」
「あっはい…それはゆかりさんからも聞いています…」
「それでだ…、匠くんにはスズタとの専属として新たな部署で活躍して欲しいんだが…」
「ぅえっ?…それって今の部署を変わるってことですか?!」
「いやいや、今すぐという話じゃないし、既存の部署を拡大するだけの可能性が高いんだ。匠くんが何処かに異動ということはないさ」
「そうですか…今の部署の子たちはみんないい子だから離れるとなると…ちょっと…」
「うん、そうだろう。だからそれは避けようと僕も思っているよ」
よかった…
今の僕があるのはゆかりさん始め、あの部署の皆のお蔭だもんな…
「それじゃあ男性用の下着を大々的に売り出すってことになるんですね…」
「ああ、スズタの方も手始めには男性用下着を売り出すとのことだ…これからは輸入品には頼らずに、我社とスズタとでブランド品を立ち上がることになるだろうな…」