ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1059
国内有数の下着メーカー、そのトップシェアの二社が手を組む。
経済界にも大きな影響を及ぼすだろう。
「ありがとうございます。これからも頑張ります」
「ああ…僕も日本に戻ったら彼女に会わないとな…」
和彦さん、そういえばオランダにいるんだっけ?わざわざ僕に電話するなんて…
和彦さんとの電話を終えるとすぐにスズタの三枝さんと互いにお礼を…
そんな間に時間は過ぎ定時を迎える。
美月さんにアイコンタクトを取り互いに微笑む…
今日は上手い酒が飲めるよね…
「先輩、今からお祝いさせて下さいよ!…」
肩をポンッと叩いてきたのは新庄だ…
まあコイツは、昨日お袋と一緒のところを僕が目撃したなんて知らない訳だから、こう来るのも仕方ないけど;…
「ハイハイ、君はあっちでお祝いしてちょうだいね!」
美月さんが新庄を引き離して僕の腕を掴み組んでくる。
…残念だけど当然だよね。
寂しそうに佇む新庄の姿を見送り美月さんと定時退社。
「お店は…」
「私のお気に入りがあるの!」
そういうところはやっぱり美月さんだよね…
僕は全てをお任せしていればいいんだな。
「よかったの?…せっかくのお祝いの夜に私なんかに付き合って貰っちゃって…」
「いやぁ構いませんよ、そういうことは今後もあるだろうし、今日の先約は美月さんじゃないですかぁ〜」
「ほんとにぃ?…」
「もちろんですよ。その代わり美味しいお酒を飲ませて下さいよ!」
「任せて。人で混んでるような大衆居酒屋とかじゃなくて、バーカウンターでじっくりゆっくり飲めるお店なんだ」
「へぇ、それはまたすごいですね」
「仕事で凹んだときとか、行って飲んでまた頑張ろう、って」
「美月さん、そんなことしてたんですね」
「マスターがね、すっごくいい人なんだ」
オフィスから20分くらい歩く。
表通りとはちょっと離れた隠れ家みたいなバーに一緒に入った。