ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1057
「そんなことはない…同い年なのに僕ももっと見習わないといけないなってね」
「あら…私だって匠くんが羨ましいなって思うこと多いのよ…こんな性格だからなかなかいい人も見つけられなくて…美玲や沙織に妬いたこともあったんだけど…」
「その2人も…ですか」
「ええ…」
美玲ちゃんや沙織ちゃん…それにこの部署の女性陳は皆綺麗だったり可愛いかったりするけど、美月さんだって充分に負けてはいない…
「そんなこと無いですって……美月さんには美月さんのよさはあると僕は思っていますけど…」
「匠くんは優しいのね…匠くんと出会えて私は幸せだは…」
パソコンの画面からいったん視線を外し、僕に目を細め微笑みかける美月さん。
とてもいい笑顔だ。眩しいくらいで直視できない。
「ね、匠くん、今夜、暇だったりする?」
「えっ?」
「匠くんと2人きりで、ってなかなかなかったから…同い年なのにね」
ほんとにそうだ…こうやって2人で話したのでさえ初めてだもんな…
「もちろん喜んで…頑張って定時に上がれるようにしますね…」
「それだったら私も頑張らなくっちゃ!…男の人とデートなんて何年ぶりかしら?…」
「えっ、それってデートなんですか?」
「私にとっては、男の人と2人で飲むってことはデートなのよ〜」
まあ考え方は人それぞれ…美月さんが楽しそうにしてくれるならいいか。
約束をして、昼休みを経て午後も仕事に励む。
このままなら今日は定時で上がれる。
「はい。お世話になっております…はい、はい…」
美月さんが電話応対中。
「はい……そうですか!ありがとうございます」
急に声のトーンが上がって嬉しそうになったので、応対を終え電話を切ったところで気にしてみると
「やったよ、匠くん、スズタとの交渉成立だよ!!」