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悪魔崇拝ごっこ
【ファンタジー 官能小説】

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悪魔崇拝ごっこ-7

ミナが帰ったあと、俺たちは肩をたたき合った。
大喜びで童貞同盟の解散を祝い、黒魔術教団の誕生を祝った。
「でもあいつ、黒魔術を信じたな。おまえがアグリッパの本持ってるなんて知らなかったよ」
「持ってるわけないだろ。適当に言っただけだよ」
「でもさ、それ使えるよね」
ワインの残りで乾杯した。
だが、いいことばかりではなかった。次の週末ミナは来なかった。
「トモ、妹を使ってさぐってこいよ」ザネが怒った。
しばらくしてトモが戻ってきた。
「誰にも喋ってないようだよ」それで一応ホッとするが、これは問題だった。
「そのまま返すっていうのはリスクが大きすぎるね」
「おまえブルッてんのか」ザネはいつもトモをいびる。それでも、「これからは保険をかけとこうぜ」
「どうするんだ」 俺は『こんな遊びはもうやめよう』と、言おうと思っていたのだ。
≪まだこんなことを続けるつもりか≫
―――実は俺は少し前にミナに会っていた。
出会ったのは偶然。彼女は当然俺のことは知らなかった。
前とは違う長袖とロングのスカート、つばの広い帽子。肌を出そうとする他の子らと違って、それは逆に目立った。
今までなら声もかけられなかっただろう。
しかし、すでに彼女の体の奥まで知っていた。そのせいもあるのか、今までの俺のように妙に緊張することがなかった。
互いの学校の話なんかをして、入ったこともなかったスイーツの店へも行った。
ただ、もう少し近づいて話をしようとすると、ミナは一瞬硬くなって避けようとする。あの時の経験が恐怖として心から抜けないのだ。
「どうしたんだ。何か心配事でもあるの」優しく肩に手をかけた。
あの時にはこんな所には触りもしなかった、ほっそりとした優しい肩だった。そこに力を込める。
心配の理由は分っている。
「週末には外に出ないで。星占いをやってて知ってるんだ。出るのは不吉だよ」
「でも」ミナは逆に恐れた。
この子は黒魔術と同じだと思っている。それで白魔術のことを教えて、呪い封じのまじないを唱えてやった。
「これでどんな呪いでも解けるよ、何があっても俺が助けてあげるからね」
まだ何も知らない彼女としてやり直そうと思った。
「明日も会える?」ちょっとはにかんだ彼女の顔がかわいい。
そして、手を握ってくれたのだ。―――

こんな事はふたりには言えなかった。どう考えても俺が裏切ったと思われてしまう。
俺が考えている間にザネは決心していた。「ビデオ撮るんだよ。やってるところを撮って黙ってないと流すぞっておどかしてやるんだ。魔法は信じきれなくてもこれなら信じられるさ」
「そんなカメラどうするんだ」
「オレ金ためてんだ。安い質流れ品を知ってるんだ」
俺は言い出しづらかった。≪もう少し続けて、ふたりがミナの事を忘れたころに、やめると言おう≫
「じゃあ俺も魔術が本当らしく見えるように、もっと調べてみるよ」そう言って三人は別れた
それから俺は柄にもなく図書館などどういうところに行ってちょっと勉強した。
恋人を見つけるまじないや運勢を占うといった綺麗な印刷の本はあったが、そんなのが欲しいのじゃない。
そしてトモと一緒に行った古本屋でそれを見つけた。
何百年も積み重なった本の中から、腐り果てずに残ったような本をトモが探り出したのだ。
俺はそれを盗み出した。
悪魔の本だ。盗むのが正しいことだと感じた。
革張りの本で、中は印刷ではない。すべて手書きでできていた。
助かったのは読める言葉で書いてあったことだ。
ただし、書いてある内容はほとんどわけがわからなかった
どう唱えようと聴いている者もどうせ訳が分からないんだ、それらしく聞こえさえすればそれでいい。
確かにこの本には妙な緊張感があって、開いているだけで背筋がぞっとしてくるような、どこからか覗かれているような、妙な感覚を覚えた。


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