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隣人
【その他 官能小説】

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その(4)-1

 それから数日毎に秘密のセックスは続いた。それは言い知れぬ昂奮を生む密会であった。
 互いに、妻に隠れ、夫の留守にその家で、しかも我が家の隣室である。初めこそぎくしゃくしていたその危うい状況が次第に快楽を増幅させるようになっていった。
(いま亜希子は何をしているだろう。ソファに寝そべってテレビでも観ているか……)
結衣の体に顔を埋めながら昂奮が高まってくる。
 田之倉への恐怖は消えたわけではないが、一夜を共にするのではないからその心配も薄れていった。何より、結衣の変化が小山内を夢中にさせていった。

 三度目に、彼女は彼を咥えた。抱き合ううち、上になり、言い淀みながら、伸びた手がペニスを掴んだ。
「いいですか?」
そして薄い唇が開き、滑らかに吸い込んだ。
「ああ……」
口中に包まれ、舌が先端にまとわりつくように動いた。
(これは、効く……)
快感の痺れに思わずのけ反った。
 何という柔らかさ、そしてやさしさに溢れた舌技であろう。亀頭から肉茎、体までもとろけてしまいそうな舐め方であった。ときおり心持ち吸い上げる刺激が高まりへと繋がっていく。亜希子にもさせたことはあるがいつも機械のように上下するだけだ。

「奥さん、もう……」
口を離した結衣は嫣然と笑みを浮かべ、
「私、おかしくなりそう。上になっていい?」
色香漂う瞳の輝きに小山内は声もなく頷いた。
 ゆっくり跨り、肉棒の根元を持って自らにあてがうと、やや前屈みになって腰を沈めていった。

「あう……すごい、すごいわ、小山内さん……」
「うう……」
小山内は声を呑み込んだ。すごいのは結衣の方だ。
(たまらない……)
沈んだ腰がうねるように動き始めたのである。しかも回転が加わり、締めつけてくる。たっぷり舐められた後である。
「だめだ、イキそう」
「いいのよ。出して」
その言葉と同時に結衣の上体が上下に舞った。
(結衣!)
伸ばした腕に結衣が倒れてきて小山内は絶頂に飛び上がった。
「ああ!」
(結衣の胎内に迸っている!)
何度も突き上げ、口走っていたのは彼女の名であった。
「結衣……」


「嬉しかったわ……」
小山内にすがりながら熱い吐息が吹きかかる。名前を呼ばれて『感じた』という。
「すいません、奥さんなのに、つい……」
「いいんです。嬉しい。二人だけなんだから、これからも結衣って呼んでください」
(これからも……)
その言葉が心を躍らせた。
(これからも続くんだ……)

「お父さんの具合はいかがですか?」
「おかげさまで。今度新しい治療を始めることになりました。なんですか、ピンポイントに癌細胞を死滅させるものらしくて、体に負担がかからないみたいなんです」
「それはよかった」
「ありがとう……」
結衣の唇が重なってきた。
「保険がきかない治療を受けられるのも小山内さんのおかげです」
「もし、まだ足りないようでしたら、遠慮なく言ってください。まあ、限界はありますけど」
「ありがとう。嬉しい。でも、十分です」

 結衣が起き上がり、小山内の腕を取った。
「一緒に、お風呂入りません?」
「お風呂?」
「私、あなたともっと触れ合いたい。乱れたいの。でも、奥さまに気付かれるかしら」
たしかに、入浴すれば香りは漂うだろうが、遅くなれば寝ているだろう。
「ぼくはかまわないですよ。でも、いいのかな……」
「いいの。私のために、お願い」
「誰も、来ないよね」
「大丈夫」
結衣は全裸で立ち上がり、小山内を手まねきした。

 湯船で濃厚なキスをしながら、向き合った結衣の脚は開き、胡坐をかいた彼の上に跨っている。座位の形である。半勃起のペニスはぬめりを滲ませた亀裂に触れている。そこでもキスをしている。結衣がときおり腰を動かすのでとても心地いい。もう少し硬くなったらそのまま膣口に入ってしまうだろう。

「ああ、奥さん、すてきだ。すてきだ」
「結衣でいいって言ったでしょ……」
「結衣……」
「……はい……」
恥じらうように目を伏せる。小山内はたまらず口づけをして掻き抱いた。同時にぐぐんと勃起して湯の中の蜜壺に先端がはまった。
「うう……」
襞が絡み付くようにペニスを包む。

「こんなところで、初めてよ」
「ぼくもだ……」
「お湯の中だとよけいに体中が熱くなってくる……」
たしかに、性的興奮がより増してくる。だが、ここで結合し続けるのは窮屈だ。
「出ようか」
「うん……」
ぬるっとペニスが抜け、結衣がゆっくり立ち上がった。眼前の繁みが滴を垂らして充血した秘口を覗かせた。



 



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