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惚れ薬
【その他 官能小説】

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彷徨-5

 浴室から部屋に戻ると麻衣がベッドに座って煙草を吸っていた。
「起きたのか。悪いけど、そろそろ行かなくちゃ。また今度会おうよ」
無表情の麻衣は煙草を揉み消して低い声で何か言った。
「何?」
聞き取れない。
「まだ、帰さない…」
「え?」
やおらベッドからおりて目を剥いた。
「帰さないのよ」


 それから時間にして一時間余り。俺はほとんど一方的に煽られ続けた。
「舐めてよ!いっぱい舐めるのよ!」
自らM字に開脚して、
「早く!ねえ」
べっとり濡れて光った陰裂が剝き出しになった。肉厚の小陰唇がぱっくりと口を開け、赤黒い粘膜が別個の生きもののようだ。沙織や優花と比べるとグロテスクといっていい。

 顔を近づけ、ぷんと陰臭が立ち昇った。
「あ、」
動きを止めた俺の首に麻衣の脚が絡んで引きつけられ、頭を押さえられた。ためらいなど許すものかという動きである。
「むう…」
強引に裂け目が押し当てられ、腰を上げて顔に擦りつけてくる。
(こうなったら自棄だ)
亀裂を縦横に舌で抉った。
「くう!いい!」
クリトリスを、襞を、入口を、舐め回した。
「あうーん!だめぇ!」
 間もなく、腹部が大きく収縮して呆気なくイッタ。と、一息つくや、たったいま『イッタ』はずの麻衣がむくっと起き上がった。
「な、なに?」
「勃つのよ」
「だって、まだ」
「勃たたせるのよ」
返す言葉もないまま、むんずとペニスを握られた。
「じれったい。勃たたせてやるわ」

 俺はされるがままだった。麻衣のらんらんと輝く瞳は妖艶というより殺気に満ちていた。ペニスを扱き立て、舐め回す顔は妖怪だ。
 やがてむくむくと形を成してくると、
「勃った、勃った」
ぶつぶつと呪文のように呟き、身を起して跨って一気に腰を落とした。見事なまでの早業である。
「ああ!これよ、これ」
二、三度小刻みに上下して納まりを確かめ、弓なりに上体を反らせて陰門を締め上げた。
「いいわ、いいわ」
俺への配慮などまったくない。自分の世界をまっしぐらに突き進んでいく。時にジャンプしてどすんと体重がもろにのしかかる。
「ひゃ!ひゃ!ひゃ!」
奇声を発し、髪を振り乱し、淫欲に溺れていく麻衣の狂態。その姿を見上げながら、俺は爺さんの言葉を思い出していた。
『分量を守れ』……
どうなるかわからないから守った方がいい。たしかにそう言った。
 麻衣の狂乱ぶりは薬が多すぎたからだろうか。きっとそうだ。いままでこんなことはなかった。薬が切れるまで続いたら俺の体はもたない。いや、二人ともおかしくなってしまう。

「ひゃ!イクゥ!」
絶叫とともに麻衣が倒れ込んできて断末魔の呻きを上げた。被さった体はぶるぶると震えている。だがこのままでは終わらないのだろう。ならば、
(くそ!やられっぱなしでいられるか)
俺は結合したまま体を返して上になるとまだ頂上で彷徨っている麻衣に渾身の突き立てを開始した。
「ひい!」
覚醒した麻衣が引き攣った。
「どうだ!どうだ!」
抜き差しというより叩きつけていた。
「ひい!イク!イク!」
(イケ!イケ!)
ぐんと差し、引き、体もろとも突っ込んだ。
「出る!」
「あうううう!」
 味わっている余裕はなかった。また息を吹き返したら迫ってくるかもしれない。
ピクピクと弾けて涎を垂らしている麻衣を横目に急いで服を着ると俺は逃げ出したのであった。


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