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惚れ薬
【その他 官能小説】

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法悦曼荼羅華-1

 仕事納めから三日経った。例年なら故郷に帰ってのんびりしている頃である。
あと一日で今年も終わってしまう。昨日母親から心配して電話があったが、友達とスキーに行くから今年は帰れないかもしれないと嘘を言った。

 帰省したい気持ちはある。アパートにいたって特にすることはない。久しぶりに幼馴染と会った方が楽しいに決まっている。同級生の女に薬を使う思いつきも忘れてはいない。しかしどうにも体が動かなかった。気持ちが重いのである。様々な想いが複雑に絡み合って、どんよりと分厚い雲が心を被っている感じだった。

 思えば薬のことしか考えていなかった半年であった。言いかえれば毎日のように女を求めていたことでもある。現実に起こったことでありながら夢のように思える。
 江里…彼女の体の隅々まで頭に描くことができる。襟足の髪の生え際に横一直線に並んだ三つの小さなホクロ。桃尻の肛門近くには茶褐色の痣がある。江里自身も知らないだろう。
 ピチピチと跳ねた沙織。聖なる扉を初めて開いたのは俺だ。ああ、この俺なのだ。さらに優花にいたっては感動の蕾であった。そして奈々枝、サエ、麻衣……。
 思う存分堪能できた。それはたしかなことなのに、なぜなのか充実感がない。満たされた気がしない。むしろ隙間風が心を吹き抜けていく心情である。
(薬のせいだ…)
薬による精神的な副作用……そんな気がしてならない。

 女が俺を求めてくる。ひそんでいた性欲が剝き出しになって燃え上がる。だが、薬が切れればそれまでである。相手は俺のことなど何とも思っていない。薬がなければ誰一人として抱くことは出来なかったのだ。まるで消えゆく泡沫のようだ。もっと哀しく、切ないかもしれない。その薬も残り少なくなってきた。……あと数回分…。


 年が明け、安田から携帯に電話があったのは元日の昼頃である。
「おめでとう」
酒が入っているらしく上機嫌である。それにしても安田が正月に電話をかけてくるなんて初めてのことだ。よほど見舞いの件が嬉しかったようだ。
「昨年はありがとう。いろいろ迷惑をかけたな」
「いえ、今年もよろしくお願いします」
 適当に話を合わせながら俺が頭に浮かべていたのは沙織と奈々枝である。
(薬の最後の一回はやはり沙織で締めたいものだ…)

 「どうだ、実家でのんびりやってるか?」
「はあ、実は…」
今年は帰省しなかったと言うと安田の声が変わった。
「なに?それじゃひょっとして一人か?」
「ええ、まあ、寝正月ってところです」
酔った勢いもあったのだろう。安田はすぐ家に来いと言った。
「正月は楽しくやらなきゃ。とにかく来い」
丁重に断ったが安田は執拗だった。
「二人で飲もう。泊っていけばいいんだよ。来いよ。待ってるぞ」
気持ちが動いたのは、安田に代わって奈々枝が電話に出たからである。
「磯貝さん。主人も言ってますから。いらしてください。話し相手が欲しいんですよ。本当に遠慮なく。ぜひ来て…おねがい…」
最後の言葉は囁くように小さかった。
(奈々枝…そして沙織もいるかもしれない…)

 いくらなんでも安田の家でセックスは無理だろうが、肉感的な彼女の体をしばらくぶりで眺めるのもいい。沙織の若々しい肢体も目の保養になる。それに親しくなっておけばチャンスも広がろうというものだ。
(万一ということもある…)
念のためポケットに薬を忍ばせた。先ほどまでの暗い気分がすっかり消えて,むらむらといつもの淫気が高まってきた。


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