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惚れ薬
【その他 官能小説】

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美少女初摘み(1)-4

 「どうすればいいんですか?」
喫茶店で向き合いながら、沙織は不貞腐れて言った。俺が煙草ばかり吸ってのらりくらりとしているものだから苛立ってきていた。
「要点を言ってください」
「そんな難しい問題じゃないんだよ。ご両親を裏切らないようにしてくれればいいだけなんだ」
「だからもうしませんって言ってるでしょ」
目的は薬を飲ませることなのだから筋立った話など出来るはずもなく、同じような説教じみた言葉を繰り返すばかりだ。
 じらしていたわけではない。内心焦っていたのである。沙織が一度も席を外さないのだ。目の前のジュースにも口をつけず、氷はほとんど溶けかかっている。まずい状況になりつつあった。
 沙織がテーブルの下で携帯を確認した。
「約束でもあるの?」
沙織は軽く溜息をついてから頷いた。友達と会うのだという。待ち合せ時間を訊くとあと三十分ほどしかない。原宿だというからぎりぎりの時間だ。なかなか言いだせずにいたようだ。
 切羽詰まった俺は一か八かの賭けに出た。
「それは気がつかなくて悪かったね。お詫びにケーキをごちそうするから、それだけ食べてってよ。すぐ友達に電話してさ。ちょっと遅れるって。それでもう終わりだから」
終わり、というところを強調した。
 ケーキなんかいらない、すぐにでも店を出たい気持ちだっただろうが、ようやく解放される目処が立った安堵からか、あっさり俺の勧めを受けた。
「ちょっと、電話してきます」
(やっと立った…)

 すぐにショートケーキを注文した。
「急ぐんで、これ早く」
ガラスケースを指さしてウエイトレスを急かせる。
 沙織はまだ来ない。ケーキに薬を垂らす。念のためジュースと水にも入れた。緊張が走った。
(万全だ…間に合った…)
入れ過ぎかと思ったが、いまさら仕方がない。
 沙織が戻るまで意外と時間がかかった。トイレを我慢していたのかもしれない。

 「連絡ついた?」
「はい」
嬉しそうだ。ほっとしたのだろう。表情は和み、美味しそうにケーキを平らげると、薄くなったジュースまで飲んだ。
「ここのケーキ、けっこういけるでしょ?」
「うん、美味しかった」
(あとは待つだけだが…)
 会話が途切れて沙織はそわそわし出した。
 「行っていいですか?」
バッグを手に沙織は待機の体勢をとった。
「うん…」
濁した言い方をしてさりげなく時計を見る。
(まだ時間が足りない…)
「これからはちゃんと塾に行ってね」
「はい、休まないで行きます」
いまにも腰を上げる身構えになった。
 俺は咄嗟の思いつきで訊いた。
「ひとつだけ、教えてくれる?」
「はい?」
「係長が喜ぶ物って、何だろう」
沙織はちょっと面倒な顔を見せたが、自分のことではないので仕方なさそうに話に乗ってきた。
「パパの喜ぶ物…食べ物ですか?」
「まあ、そうだね。係長には日頃お世話になってるから」
「そうねえ。好き嫌いは特にないけど…」
「ふだん自分では買わないような、体裁のいい物で何かないかな」
「パパが貰うってことは、あたしも食べられるってことか」
「沙織ちゃんの好みじゃないからね」
「わかってますよ」
沙織は打ち解けた笑いを見せてから真顔で考え込んだ。その大人びた小生意気な表情が堪らなく可愛い。Tシャツの胸がツンと突き出ていてはち切れそうな若さがピチピチ跳ねている。
 
 時間を確認する。
(あと少し…)
沙織の携帯が鳴った時、まだ三十分経っていなかった。
(友達からの催促か…)
引き延ばしも限界のようだ。やむを得なければ後を付ける手もあるが……。
 突然、沙織の声が大きくなった。行けなくなったと答えている。
(!………)
俺は固唾を呑んで見守った。
「だから急用なのよ。しょうがないでしょ。またメールするよ。じゃあね」
やや強い調子で言うと電話を切った。
(効いた…効いたんだ!)
俺は小躍りしたい心境だった。
「友達と会うの、やめた…」
沙織はそう言うと恥ずかしそうに顔を伏せた。耳がほんのり赤くなった。
「いいのかい?」
どうして?とは訊かなかった。
「うん。いつだって会えるし。…それに、磯貝さんといる方が楽しいんだもん」
俺の動悸は自分でも聴きとれるほど高鳴っていた。
 もう完璧だ。俯いた白い顔まで紅潮してきている。こまっしゃくれたところなど微塵もない、純真な少女になっている。血液に運ばれた薬が全身に行き渡ったのだ。


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