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惚れ薬
【その他 官能小説】

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美少女初摘み(1)-3

 (いよいよだ……)
次の日の夜、俺は塾近くの駅で沙織を待った。二日続けて休むことはないと踏んだのだ。欠席が重なれば家に連絡がいくかもしれない。少人数の厳しい授業だと安田が言っていた。沙織もそのくらいの用心はするにちがいない。うまく理由をつくって時々遊んでいるのだと思う。
(今日は休まないはずだ…)
 人混みに沙織の姿を見つけた時、俺は、
「よし…」と声を出していた。

 気づかれても構わないと思って大胆に付いていった。ただ、状況は考えなくてはならない。人が多すぎては話がしづらい。
 意外と気づかれないもので、人混みが途切れるのを見計らっているうちに自宅のある駅まで来てしまった。
(のんびりはできないな…)
声をかけようとして、ふと考えた。家の近くで話した方が心理的に効果があるように思えたのだ。危険もともなうが出来るだけ近づこう。……
 安田の家はまだ付近に自然が残る新興住宅地である。歩くうち、一人二人と人が少なくなり、やがて自分の足音が聞こえるほどまばらになっていった。
 もう頃合いだとやや足を速めると、気配を感じたのか、沙織が振り向いた。
 「おや、沙織ちゃんじゃない?」
立ち止った沙織は俺が誰だかわからずにわずかに後ずさりするとカバンを胸に抱いて警戒の体勢をとった。
「しばらくだね」
目の前に来て、ようやく俺を認識した。
「なんだ。パパの会社の…」
「磯貝です。引っ越しの時に…」
「憶えてるわ。パパに用なの?」
「ふむ…」
俺はそれには答えず、煙草を取り出すと、ことさらゆっくり火をつけて大きく煙を吐き出した。街灯の明かりを横から受けた沙織の顔にはかすかな不審の表情が窺えた。
(さあ、ここからだ)
 「いま帰り?」
今度は沙織が答えない。上目使いで俺を睨みつけている。
「いやあ、実はね。お父さんとお母さんにお話しようと思って来たんだけど、偶然沙織ちゃんに会っちゃったからなあ…どうしよう…」
沙織には言っている意味が分かるはずもない。やや苛立った調子で、
「どういうことか分からないんだけど」
いまにも踵を返しそうな動きを見せた。
「あのね、昨日、渋谷で沙織ちゃんを見かけてさ」
とたんに沙織の顔が強張った。
「久しぶりだったんで見違えちゃって。お化粧までしてるから」
人が歩いてきて、沙織は慌てた様子で、
「近くに公園があるから…」
足早に歩き出した。明らかに動揺している。後ろに従いながら俺はわくわくしていた。

 明かりを避けるように木の陰に身を入れた沙織は、振り返るなりきっぱりと言った。
「たしかに行ったけど、中学の時の友達に誘われてたまたま行っただけよ」
付き合いだ、疾しいことは何もない、そう言いたいらしい。かなり昂奮気味である。
「初めてよ、行ったの。久しぶりに会おうって言われたから」
俺は鷹揚に頷きながら。
「そうだったんだ」
言ってからわざと間をあけた。
「でも、私服に着替えてお化粧して。あれがたまたまのことかな。それにしても塾をサボるのは親としたらがっかりだろうな」
「そんなこと調べてるの?ストーカーじゃない」
「ちがいますよ。それこそたまたま見かけたんでね。上司の大事なお嬢さんですから、見過ごしにはできませんよ」
「だって、関係ないじゃない」
「いやいや、ありますよ。お世話になってるんだから」
「それでパパに言いつけに来たの?」
沙織の言葉は心なしか震えているように聞こえた。
「言いつけるなんて。そんなつもりはないんだ」
沙織が一歩近づいてきた。そして声を落として甘えるように言った。
「お願い、言わないで。知られたら大変だもん」
(やった…)
俺は内心快哉を叫びながら、もったいぶって歩き回った。
「たしかに知ったらショックだろうな。一流大学目指して頑張ってるって言ってたもんな。係長」
追い打ちをかけた。
「だから困るの。いつもサボってなんかいないわ。ほんとに時々なの」
「うーん。言わない方がいいのかな…」
「お願い。お願いします」
沙織は涙ぐみ始めた。
(大成功だ!)
心で手を叩いた。
「ところで、今度の日曜、時間ないかな」
俺の言葉の意味を解しかねて、沙織はハンカチで頬を拭いながらきょとんとしている。
「一度会って話をしよう」
「話って?」
「これから真面目に塾へ行くかどうか。いろいろと気持ちを確認したいしさ」
「真面目に行きます。ほんとです。誓うから言わないで」
「だから、そのために話を聞きたいんだ。そうすれば君を信じるよ」
自分で言いながらわけがわからない。沙織はなおさらだったろう。しかし、とにかく俺と会わなければ事は治まらないことだけは理解できたようだ。
「わかりました…」
不承不承頷いた。

 十七歳の娘を婉曲に脅して不安に陥れたことに気が咎めなかったといえば噓になる。だが、本来手を握ることも、いや、口を利くとこすら叶わない美少女を自分の自由に出来る絶好の機会なのである。
(良心など糞くらえだ…)
底しれない欲望は罪悪感をいとも簡単に抹殺した。悦びさえ湧いてくる。何も知らない安田の顔をこれから毎日眺めることを想像すると何と痛快なことか。
 ところで、薬と記憶の関係が少しわかってきた。江里が不思議そうな顔をして話しかけてきたのである。
「あたし、最近、磯貝さんとどこか行ったかしら」
「いや、二人でっていうのはないね」
俺はとぼけて答えた。
「そうよね…」
「なんで?」
「ううん、別に。何だかそんな気がしたから…」
俺は笑いをこらえるのが苦しかった。そんな気がしたという言い方が可笑しかった。
 どうやら江里に関していえば、夢ともいえるぼんやりした記憶が漂っているようだ。意識下で俺の存在が残っている。そういうことのようであった。

 


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