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天国に一番近い地獄
【学園物 官能小説】

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初等部の教室は幼蜜の薫り-1

「ごきげんよう」
 少女たちの明るい朝の挨拶が飛び交っている。
「はい、ごきげんよう」
 智も機械的に挨拶を交わしている。
 智の職場であるセント・カトレア女学園のいつもの朝の風景だ。朝でも昼でも夕方でもここの挨拶は「ごきげんよう」に統一されている。

「ねー、さっきバスの後ろにずっと同じタクシーがつけてたよねー」
「うっそ〜、やだ〜、なんかキモぉ」
「ねー、ところでさー、久美子ってW大の彼氏がいるらしいよー」
「えー、まじ〜。いいな〜、私も早く彼氏見つけようっと」
「ムリムリぃ」
「ちょっと、何よそれ〜」
「きゃははははは」
 学バスを降りた中庭のロータリー前。そんな、とりとめもない会話があちこちで聞こえる。なにしろ生徒達はかしましい。ひっきりなしにおしゃべりをしているという感じなのだ。この学校に勤め始めたころはあまりのかしましさに頭が痛くなる思いだったが、3年目となる今ではかなり慣れてきた。
 突然、智は足を止める。
「あ、あの。星野先生・・・ごきげんよう」
 生徒達に対するのとはまるで違った、緊張した声で挨拶する。
「あら、稲葉先生ごきげんよう」
 陽子は、そんな智に気がつくと軽く会釈をしながら挨拶を返した。智はそれだけで満たされた気持ちになるのだった。


 智はこの学園で常勤の契約教員をしている。もっともこの学園に就職した動機はいたって単純かつ不純なものであった。
「女子高生とヤリまくる」
 智は中学高校と男子校でまったく女ッ気がない6年間を過ごした。運動部を頑張ったり、流行に敏感で垢抜けた友人は、それなりに他校の女子と付き合っていたりした。智はというと、そうしたことにはまったく無縁だった。
 しかし、勉強だけはよくできた。実際、有名な中高一貫校で6年間常に上位をっキープ。全国判定模試でも、公立私立を問わず一流校をA判定を獲得していた。それが実り、大学も公立の超一流T大を現役で合格。そこも主席に近い成績で卒業していた。

 そんな彼には、高校時代からひとつの野望があった。
「一流大学を卒業し、有名なお嬢様学校へ就職してそこに通う清楚な女子高生をくいあさってやる」
 なんとも陳腐で破廉恥極まりない野望だが、智の勉強へのあくなきモチベーションはこの一点にあったといっていいだろう。中高の6年間という輝かしくも楽しい青春時代を禁欲的に勉強にささげた智には、いつしか歪んだ性意識が身についてしまっていたのだ。

 卒業時には大学の研究室の残ることを求められた。しかし智は教育の現場に出ることを強く望んだ。ゼミ担や教授陣の推薦もあり、3年間の契約教員という事ではあったが、この学園に新卒で採用された。3年目を迎え、今年いっぱい無事に勤められれば正式に教員としての採用も決まる。正念場の一年を迎えていた。

 しかし念願のお嬢様学校勤めを獲得していながら、智はひたすら退屈を感じていた。むしろ、失望に近い感覚だったかもしれない。周りにはもちろん清楚なお嬢様であふれている。
「今すぐにでも、こいつらを犯してやりたい」
 そうは思っても実際どうやって手を出せばいいのか、智にはまったくアイディアが浮かばないのだ。
 何度か衝動的にレイプしてやろうと思った事もあった。しかし、ここで衝動的に手をだしたのでは意味がない。そんな事がバレでこの学校をクビになったら今までの努力が水の泡になってしまう。それどころか法の裁きを受けなければならない事態になれば人生の破滅だ。
 豪華でおいしそうでご馳走が目の前に並べられていながら、おあずけを喰らっている・・・まさに彼の現状はそんな状態だった。

 さらに智に虚無感を抱かせていたのは、彼が担任を割り当てられたのは初等部だったことだ。当初、中等部に配属されていたのだが、急遽産休を取った初等部の女性教員の代役でクラスを持たされた。学園としても新卒の智にクラス担任を持たせるのは異例の決定だったが、T大主席の看板がものを言った。
 小学校教諭の免許は持っていなかったが、ここの初等部は担任が授業を持つのではなく、中学や高校と同じように教科担当が授業を受け持った。智は中等部の授業を数駒担当しつつ、初等部のクラス担任として勤務していた。

 しかし、大抜擢にもかかわらず、女子高生が目当てだった智にとってかなりショックな出来事だった。
「俺はロリコンじゃねーんだよ」
 そう校長に直訴したい気持ちだった。


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