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たんぽぽは風に揺れて
【兄妹相姦 官能小説】

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たんぽぽは風に揺れて-5

(5)

 露骨な異性交際を知ってから妹に対する気持ちが憎悪へと変わったのは嫉妬だったかもしれない。自分を頼って淋しがっていた志麻子が見知らぬ男と付き合う。どこまでの関係なのか無論知る由もないが、受け入れることはできなかった。
 2人に溝ができた。正確にいえば俺が溝をつくり、拡げ続けたというべきかもしれない。俺から感じる鋭い拒絶の棘を志麻子も感じたことだろう。次第に言葉を交わすこともなくなり、俺たちは冷たい関係になっていった。
 溝が深く拡がってもそこには断ち切ることのできない一本の『橋』があった。気が付くとしがみついていた『女』としての志麻子の存在である。いくら嫌悪を抱いても苦悩の源を埋めることはできなかった。

 その苦悩が和らいだのが夏の2週間であった。素直な志麻子と久しぶりに接して気持ちの置き方を見つけられそうな気がしていた。
(心に秘めておこう……)
そうして生きていく。間違った道であることはわかっている。だが、許されざる想いは如何ともし難い。秘めてさえいれば俺だけの煩悶で済む。……想いを整理したつもりだった。

 志麻子が短大を出て一年後、親から突然結婚の知らせを受けた。青天の霹靂であった。暗い淵に落ち込み、もがき、やがて怒りに火が付いた。
(裏切った……)
一方的な感情である。わかっていても許せなかった。俺が県庁に就職した年である。下宿を引き払い、これからはいつでも志麻子が隣にいる。高鳴る想いに胸弾ませていたのだった。
 幸せそうな花嫁姿はとても凝視できなかった。
 そして、離婚。さらにまた、結婚、離婚。……
 何度『男』に抱かれたのだろう。毎晩のように乳房を揉まれ、唇を受け、濡れた秘唇に男根を差し込まれてのけ反ったのだろうか。

 自分の心が変形してしまったような不均衡な感覚の中に俺はいた。怒り、不信感、嫌悪……。志麻子を遠ざける感情が充満していながら、
(ああ!志麻子!)
ますます欲情は噴出してくるのである。たとえ誰かに身を任せたとしても、女として身悶えする志麻子は、堅固な俺のイメージの中では汚されてはいなかった。葛藤に揺らぐことはあっても、俺が抱き続けている志麻子は変わらなかった。

 就職して6年、これまでいくつも見合いの話が親を通して持ち込まれていた。エリートコースを歩み、県庁でもキャリア組。安定した将来を見込めることで縁談は年ごとに増えていった。
「もうすぐ30だから、そろそろ考えてもいいんじゃないの?」
母親の言葉が煩わしくなってきたのは今年になってからだ。
「まだ早いよ」
「誰かお付き合いしてる人、いるの?」
「友達は何人かいるけどね」
「その中にいるの?好きな人」
「さあ、どうかな」
そんなやり取りが多くなった。

 付き合っている女?……志麻子がいる。
 好きな女?……志麻子……。
誰にも言えない俺の心に住みついた女。大切な、大切な女。いつでも俺に向き合ってくれるのだ。ファーストキスの相手は?……志麻子。初めて抱きしめた女は?……志麻子。
 
 

 

 

 


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