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たんぽぽは風に揺れて
【兄妹相姦 官能小説】

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たんぽぽは風に揺れて-4

(4)

 翌年の夏休みのことである。志麻子が短大に進学したいと言っていることを知った。
「進学?」
「推薦枠があって、希望すればいけそうなんだ」
地元の知名度の低い短大である。父の話を聞いてなるほどと思った。どんな学校にも推薦枠はある。学力を考えたら一般入試ではとうてい無理だろう。M女の進学率はきわめて低い。志望者が少ないので志麻子が枠に引っ掛かったのだろう。

 推薦枠ではあるが、小論文と一般常識のペーパーテストがあるという。父がいうには、それを志麻子に教えてやってほしいという。志麻子がそう言っているという。
「志麻子が?」
「そうなんだ。珍しく勉強する気になったみたいだ」
俺の心が騒いだ。
「いまさらやっても。そんなテスト形式だけだと思うよ」
面倒くさそうに言いながら志麻子を間近にするときめきが高鳴った。
「そうは思うけど、やっぱり準備はしておいたほうが……」
「まあ、基本を学ぶ意味はあるけど……」
俺は心が浮き立っていた。家の中ですれ違うわずかな瞬間でも興奮に結び付く刺激がある。それが面と向かってじっくり観察できるのだ。その肌、肉付き、体形……。
(たっぷり堪能できる……)


 その夏、志麻子と『勉強』したのは2週間。これはたまらない時間だった。いま思い出してもぞくぞくするほど目映い毎日だった。
「お兄ちゃん、お願いします」
そんなしおらしい言葉を聞くのは初めてである。まるで小学生の宿題みたいに練習問題を抱えて志麻子はぺこりと頭を下げた。
 
(変わった……)
短パンにTシャツ姿を見て俺は内心唸った。志麻子の体は明らかに大人の肉付きを帯びてきていた。太もも、腰回り、胸……。胸元も腕も眩しいほどの肌の美しさであった。乳房はほどよい膨らみで俯くと谷間が見える。尻の肉は思わず触れたくなるほど柔らかそうに張っていた。むしゃぶりつきたいのを何度堪えて溜息をついただろう。
「答え、まちがってる?」
呆れてついた溜息と思ったのか、志麻子が心配そうに上目使いで俺をうかがう。その瞳が、
(かわいい……)
愛欲の戸惑いが俺を揺らがせていた。

「昔、お兄ちゃんに勉強教えてもらったね」
「小学校の頃……」
「思い出しちゃった」
幼い頃を思い出して微笑む志麻子に俺は頷いてみせたが、俺が思い出を辿ることはなかった。
(いま彼氏はいるのか?)
艶やかに伸びた肢体に触れる男がいるのだろうか。ふだん離れているのでそこの情報はわからない。中学の時から相手がいたのだからおそらく『男』がいるのだろうが、俺が帰省している間、一度も出かけることはなかった。そのことが却って気持ちの不安定に繋がった。誰とも付き合っていないのかもしれない。勉強する気になって俺に教えてほしいと言ってきたのだ。……そうであってくれれば……。だが、
(考えたって仕方がない)……

「お兄ちゃん、スイカ食べる?」
風呂上がりの志麻子がまだ濡れた髪にタオルを被ったままドアを開けた。
「一緒に食べよ?」
「うん」
素直な自分がいた。
うっすらと頬やうなじに差した肌の赤みが初々しい。温もりとともにシャンプーの香りが清々しく香ってくる。
(そういえば……)
 こうして2人で過ごす時間。……かなり多かったのだと記憶が甦ってきた。
 忘れていた子供の頃の事々が思い出されてきた。小学校の頃は2DKの社宅住まいだった。志麻子と同じ部屋、2段ベッドで俺が上に寝ていた。いつの間にか眠ってしまうまでとりとめのない話をしたものだった。両親が共働きだったことも必然と一緒にいる理由だったかもしれない。
 その後今の家に移り、自分の部屋を持つようになったのだが、俺たちの距離は変わることはなかった。それどころか、一時密接に寄り添った時期があった。この時、転校という環境の変化があったのである。俺が中学1年、志麻子が5年生のことだ。

「お兄ちゃん、今日いっしょに寝ていい?」
ある夜、枕を抱えた志麻子が部屋にやってきた。
「なんで?」
「なんか、さみしい……」
「さみしい?」
「学校、いきたくない……」
目が少し潤んでいるように見えた。転校してひと月ほど経った頃のことである。
 俺は理由を訊かなかった。おそらくイジメにあっていたわけではないと思う。慣れない土地でまだ生活ペースをつかめない不安が自ら疎外感を作り上げていたのだろう。俺もそうだったからだ。
「いいよ……」
「ありがと」

 ベッドに潜り込んでぴったり体を寄せた。
「お兄ちゃん、学校、楽しい?」
「うん?……今はまだ、楽しくないけど、もうすぐ楽しくなるよ」
「そうかな……」
「慣れるよ」
「慣れるかな」
「友達できただろ?」
「うん……でも、一緒に帰る子、まだいない」
「すぐできる。まだ来たばっかりだから」
言いながら志麻子を抱き寄せていた。
「お兄ちゃん。時々ここで寝てもいい?」
「うん、いいよ」
志麻子の腕が俺の背に回ったと同時に俺たちは唇を付けていた。まるで心細い想いを互いに融かそうとするかのように。……
 翌朝目覚めると志麻子は部屋にはいなかった。
 
 いっしょに寝たのはその時1度きりである。ほどなくクラスにも溶け込んだようで志麻子が淋しがることはなくなった。
 あの『キス』は何だったのか。俺の体に疼く感覚があったかどうか、憶えていない。また、あの時志麻子がどんな想いだったのか。たしかなのは、抱き合った弾みで偶然触れたのではないということだ。口づけは双方から何度も押し付ける形だった。
(あの時もシャンプーの香りが漂っていた……)
志麻子は憶えているのだろうか。スイカを頬張る志麻子は屈託がない。だが俺は大人になった彼女の体を盗み見ている。禁断の情念……俺は苦しかった。

 


    

 
   





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