【タイトル】淫らな指 蜜欲の夜
【出版社】オリオンブックス
【作者】マイマイ
【あらすじ】
わたしも、朱音にキスされてみたい。綺麗な手で体を触られてみたい。あの舌で舐められてみたい。常識も理性も関係なかった……。
瑠衣は27歳のOL。高校時代からの友人の朱音とは同じアパートの隣同志で住んでいる。そこへ花梨が現われたことにより一変してしまう。
花梨は真性のレズビアンだった。
妖しい女同士の世界。どこまでも淫靡で淫らな欲望。身体のどこが気持ちいいのか知り尽くした女同士。蕩けるような性の極地に導かれる。
(この作品は女性のオナニーシーンやレズビアンシーンが含まれます)
「お願い、瑠衣ちゃん……もう我慢できないから……」
ねえ、起きて。
こっちむいてよ。
ここ、濡れちゃったの。
ちょっとだけ、触って。
鼻にかかったような甘え声が耳元で聞こえた。
はあ、はあ、と乱れた呼吸音
それだけで、彼女が何をしているのかがわかる。
背中に押し付けられる、熱く柔らかな肌。
子供のように小さな手が、腕にしがみついてきて離れない。
……ああ、嫌だ。
これだから泊めたくなかったのに。
眠りに落ちかけていた意識が、半ば無理やりのように覚醒させられていく。
「もう、だめだって言ったでしょう? やめて」
栗坂瑠衣は絡みついてくる細い腕を押しのけ、眠い目をこすりながらゆっくりと体を起こした。
薄ぼんやりとした視界。
枕元の明かりがつけっぱなしになっている。
目覚まし時計に表示されている数字は午前三時二十分。
はあ、はあ。
乱れた呼吸音はまだ続いている。
狭いシングルベッドの上。
瑠衣のすぐ横には、両手を脚の間に差し入れてせつなげに腰を震わせる桃野花梨の姿があった。
まるで胎児のように背中を丸めた姿勢。
あどけない少女のような可愛らしい顔はいまにも泣き出してしまいそうに見える。
身に着けているものは濃いピンク色の短いスリップだけ。
それも肩ひもはずり落ち、裾は腰の上あたりまで捲れあがってしまっていた。
はだけた胸元からは、両手でも抱えきれないほど大きく量感のある乳房がちらりとのぞいている。
くびれたウエスト、小さく締まったヒップ。
レース地のパンティーは押し下げられ、丸まった状態で足首に引っかかっている。
腕や脚は少し力を加えただけでも壊れてしまいそうなほど細い。
花梨の動きに合わせて、ふわりとした薄茶色の長い髪が静かに揺れた。
ほんのりと赤く上気した頬、涙に潤んだ大きな瞳。
ぽってりとした唇からは絶えず熱い吐息が漏れ、部屋中の空気が花梨の色に染められていく。
……まったく、この子は。
自分と同じ女だとは思えないほどの色香を放つ彼女を見るたび、瑠衣はいつも嫉妬に似た感情にとらわれる。
実際、二十七歳の瑠衣よりも二つ年下の花梨のほうが明らかに女性としての魅力を備えているように思えた。
同じロングヘアではあっても、瑠衣の髪は黒くストレートで華やかな印象はない。
身長は百六十五センチほどで花梨よりも少し高いが、胸のふくらみは片手で十分におさまるほどささやかだった。
細いだけで、さほど色気のない体。
着ているパジャマも飾り気がなく地味で、下着も花梨のひらひらした女の子らしいものとは違うシンプルなものしか持っていない。
特に恋人がいるわけでもなく、これまでは部屋の中で着るものなどなんでもいいと思ってきた。
けれどもこうしてやたらと女の匂いを振りまく花梨を前にすると、コンプレックスを刺激されたような気持ちになってしまう。
だから、あのときも。
……違う、おかしいのはわたしじゃない。
変なのは、絶対に花梨のほうだ。
他人の家に上がり込んで、強引にベッドにまで潜り込んできたりして。
おまけにわたしのベッドで、こんなにもいやらしいことをするなんて。
瑠衣は花梨に引きずられてしまいそうになる気持ちを心の奥へと押しやり、意識的に突き放したような口調で言った。
「花梨、ここで変なことするのやめて」
「うぅん、変じゃないよぉ。すごく、んっ、いいこと」
鼻にかかったような切れ切れの声。
言葉の狭間に、ときおり聞いているのも恥ずかしくなるような喘ぎが混じる。
そうして瑠衣と話しながらも、花梨の手は閉じられた脚の間を絶えずゆるゆると擦るような動きを繰り返していた。
気持ちよくてたまらない、とでも言いたげな表情。
それを見ているだけの瑠衣の方まで、なぜだか自分も同じところを触られているようなくすぐったさを感じる。
ああ、嫌だ。
他人の自慰など見たくもないのに。
気持ち悪い、汚らわしい。
けれども、体をくねらせる花梨からなぜか目が離せない。
頬が熱い。
「も、もう! やめてって言ってるじゃない、何もしないって約束で泊めてあげたのにもう忘れた?」
「ごめんね……でも、あ、あんっ……花梨のここね、すごく熱くなってるから……」
ここ、と言いながら、花梨がそっと両脚を開いていく。
瑠衣は思わず息をのんだ。
黒い恥毛にふちどられた真っ赤な秘裂が、細い指を二本咥え込んでいるのがはっきりと見える。
そこに埋め込まれている指先は、くねるような動きで膣奥を?き回しているようだった。
たらり、たらり、と流れ落ちてくる雫が尻の下まで濡らしていく。
どこまでも淫らな姿を晒しながらも、花梨は決して彼女特有の愛らしさを失わない。
一晩たりとも性的な行為なしには眠れないくせに、何も知らない処女のような顔で感じてみせる。
大嘘つきで色情狂のレズビアン。
彼女の本性をわかっていても、自分の中の理性やモラルのようなものがぐらぐらと大きく揺さぶられるのを止められない。
どくん、どくん、と胸の鼓動が大きくなっていく。
パジャマの下で、小さな乳首がツンと尖っていくのがわかる。
パンティーの中も、じんじんと疼いて落ち着かない。
頭を冷やさなければいけない、と思う。
相手は同じ女性。
わたしには、同性愛の趣味などない。
たとえ男性が相手でも、セックスなんてしたくない。
裸で抱き合うのは不潔な感じがするし、生きていくのにどうしても必要なことではないのだから。
ずっとそう思ってきた。
自分はこのままでいいのだと信じてきた。
なのに、花梨がすべてをぶち壊していく。
「お願い。さわって、瑠衣ちゃん」
「あ……」
ぼんやりとしている間に、そっと手首を握られた。
手のひらに、花梨のふっくらとした胸が押しつけられていく。
白い乳肌はしっとりとしてマシュマロのように柔らかでありながら、驚くほどの弾力がある。
こんなこと、しちゃいけない。
はやく離れなければとわかっていても、花梨の肌が手に吸い付いてくるようで動けない。
硬く隆起した薄桃色の乳首に、瑠衣の指先がかすかに触れた。
それだけで、花梨はびくりと肩を震わせる。
「そこ、弱いの……優しく撫でて……」
「嫌よ、そんな」
「あん、少しだけ……ほんのちょっと触ってくれたら、おとなしく寝るから……」
だから、お願い。
あのときみたいに、可愛がって。
できるでしょう、瑠衣ちゃん。
甘えるような目つきに、ぞわりと鳥肌が立つ。
「あ、あれは、花梨がわたしのこと脅したりするから」
「脅す? ああ、朱音ちゃんにバラすって言ったこと?」
朱音の名前を出されると、瑠衣は冷静でいられなくなる。
学生時代からの大切な親友。
彼女を失うようなことにだけはなりたくない。
くすりと花梨が笑う。
「いいわ、じゃあもう一度脅してあげる。花梨のいうこときいてくれないなら、朱音ちゃんに全部言っちゃう」
今夜のことだって、瑠衣ちゃんに無理やりエッチなことされたって言うわよ。
それでもいいの?
悪戯っぽいまなざしが、瑠衣の心をざわつかせる。
朱音は、いったいどうしてこんな悪魔のような女を選んだのだろう。
朱音の恋人でさえなければ、知り合うこともなかったのに。
花梨なんか、大嫌い。
「……今日だけだからね。二度とこんなことさせないで」
突き放すような言い方をしたつもりなのに、花梨の表情は変わらない。
嬉しそうな微笑みを浮かべたまま、瑠衣の腕の中に半裸の体を滑り込ませてくるりと背中を向けた。
ちょうど、瑠衣が花梨を後ろから抱き締めているような格好になる。
甘ったるい香水の匂いに、くらりと目眩がした。
「うふふ、わかった。じゃあ、今日だけでいいからいっぱい可愛がって」
「もう、花梨って変態みたい。ほんと信じられない」
「嫌がるふりなんかしてもダメ。瑠衣ちゃんだって、エッチなこと大好きでしょ?」
「そ、そんなわけないでしょう。何も知らないくせに、勝手なことばっかり言わないで!」
「じゃあどうして、朱音ちゃんと花梨のエッチ見ながらハアハアしてたの? 変態なのはそっちじゃない」
「だからあれは……」
言い返す言葉が見つからない。
見るつもりなんてなかった。
だけど、どうしたらいいかわからなくて。
「あはっ、黙っちゃってどうしたの? 大丈夫よ、全部内緒にしておいてあげるから」
「でも、花梨」
「いいから、はやく気持ちよくさせて。変態な瑠衣ちゃん、大好きよ」
心にもない言葉。
からかうような口調に苛立ちがつのる。
悪いのはわたしじゃない。
全部、花梨のせいなのに。
ほとんど無意識のうちに、右手に力が入っていた。
柔らかな乳丘が、手の中でぐにゅりと変形していく。
小さな悲鳴が聞こえ、花梨の背中がびくりと跳ね上がった。
「や、やだぁ……もっと優しく……」
「花梨ってほんとに誰が相手でもいいのね。朱音に悪いとか思わないわけ?」
「あ、朱音ちゃんは……あぁっ……!」
腹立たしさをぶつけるように、ぎゅう、ぎゅう、と力任せに乳房を揉みしだいた。
花梨の柔肌に、赤く指の跡が残されていく。
抵抗する小さな手足を押さえ込み、いや、やめて、という声も無視した。
大嫌い。
こんなだらしない女。
この手でめちゃくちゃにしてやりたい。
心の奥底に眠っていた、未知の感情がのそりと這い出して来るような感覚。
やりすぎている自覚はあったが、昂ぶっていく気持ちを抑えることができない。
花梨は叫び声をあげながらも、息を荒げて両脚を擦り合わせている。
ちらちらと見える太ももの内側は溢れ出した蜜液で濡れ、うっすらと光っていた。
どうしようもない子。
意地の悪い気持ちが刺激される。
瑠衣は花梨の乳頭をこりこりと摩擦してやった後、思い切りきつく捻りあげた。
「きゃあっ!」
ひときわ甲高い叫び声があがった。
腕の中の体が大きくしなり、びくびくと怯えるように小刻みに震えている。
「ねえ、こんなことされても感じるの? あそこ、さっきよりずっと濡れてるみたい」
「あ、あっ……ご、ごめんなさい……」
瑠衣ちゃん、許して。
いい子にするから。
すすり泣くような声。
瑠衣を脅していたときの尊大な態度が嘘のように、弱々しく可憐に見える。
まだ許さない。
もっと、もっと虐めてやりたい。
「いい子にするなんて嘘よね? どうせ寂しくなったら、またここに来てわたしを困らせるんでしょう?」
「だ、だって……い、いや、あっ……!」
乱暴に乳首を擦り立てながら、あいている方の手を花梨の股間に伸ばした。
普段なら、他人の陰部など絶対に触りたくないと思うはずなのに。
指はごく自然に花梨の手を押しのけ、潤んだ裂け目をまさぐっていく。
ざらりとした陰毛の感触。
その奥にある膣の入り口は、熱くとろりとした粘液に満たされている。
迷うことなく、瑠衣はそこに自身の指先をゆっくりと沈み込ませていった。
熱湯のような蜜沼を、ぐちゅぐちゅとかき混ぜてやる。
膣の粘膜が待ちかねていたように、ねっとりと指に絡みついてくる。
ひん、ひん、と花梨が赤ん坊が泣くような声で喘ぐ。
絶頂に達しつつあるのか、腰がガクガクと震えている。
ふと、指を挿入されているのは自分で、喘いでいるのも自分自身であるように思えた。
二度目の錯覚。
花梨と自分自身の境界線が消えていく。
瑠衣の秘部は下着の中で疼いているだけでなく、恥ずかしくなるほど熱く火照っている。
もしかしたら、少しは濡れているのかもしれない。
花梨と同じように。
こんなのは、わたしじゃない。
女の子を嬲りながらいやらしい気持ちになるなんて、どうかしている。
でも、まだやめる気にはなれない。
体温と心拍数が同時に上がっていく。
「瑠衣ちゃ……も、もう……」
「だめよ、まだ許さない」
二本目の指を膣口に捻じ込む。
根元までぎっちりと埋め込んだ後、いつか見た朱音の動きを真似て激しく指を出し入れしてやった。
もっと泣かせてやりたい。
二度と逆らえないように、屈服させてやりたい。
それにも増して、この子のもっといやらしい顔が見たい。
じゅぷっ、じゅぷっ、と淫らな音が響く。
シーツの上に粘度の高い蜜液が飛び散っていく。
目の前にあった花梨の耳朶に唇をつけ、軽く噛んだ。
悲鳴まじりの泣き声が大きくなる。
「いやあ……! もうだめ、それ以上したら、あ、あっ」
「わたしのベッド、花梨のエッチなおつゆでベトベトになってるじゃない。ねえ、どうしてくれるの?」
「あ、謝るから、いい子にするからあっ……!」
「同じことしか言えないのね。ほら、気持ちいいんでしょ? もっとして、って言わなきゃ」
「き、気持ちいっ……い、イクの、もう、イッちゃうっ……!」
花梨が両脚を突っ張りながら激しく痙攣させた。
膣内で指がきゅうっと締め付けられていく。
その刹那、瑠衣自身も軽い絶頂感を覚えた気がした。
……わたし、何をしていたんだろう。
腕の力が緩んでいく。
真っ赤な顔で息を弾ませている花梨が、ひどく遠くにいるように感じた。
視界が揺らぎ、意識が夢の中に引き戻されそうになる。
何もかもが曖昧になって、すべてが夢の続きであるようにも思えた。
「……ねえ、瑠衣ちゃん」
放心しているうちに、花梨が何かを期待するような表情で抱きついてきた。
熱っぽい体。
潤んだ瞳に妖しい光が宿っている。
よく聞こえないが、何かを囁きながら瑠衣の胸元のボタンをひとつずつ外していく。
もう突き飛ばす気力もなかった。
「花梨、何してるの……相手してあげたんだから、もういいでしょ?」
「ううん、今度は瑠衣ちゃんの番。いっぱい感じさせてあげるから」
嬉しそうな声。
瑠衣の胸元をはだけて、乳房に顔を埋めてくる。
尖りきった乳首が、花梨の唇に軽く触れた。
ぞくん、と産毛が逆立ち、全身の血液が一瞬で沸騰しそうになる。
いやだ、こんなの絶対にだめ。
「じ、冗談でしょう? やめて、わたしは」
「興味ない、って言うんでしょ。でも花梨のを触ってただけで、もう瑠衣ちゃんったらこんなになってるじゃない」
いつのまにか、パジャマのズボンが太ももの真ん中あたりまで押し下げられていた。
薄い水色のパンティー越しに、あの恥ずかしい割れ目をそろりそろりとなぞりあげられていく。
くちゅ、くちゅ。
布地と粘膜が擦れ合うたび、耳を塞ぎたくなるような粘着音が鳴る。
戸惑いと羞恥。
瑠衣は慌てて花梨の体を押しのけようとしたが、花梨は意外なほど強い力でしがみついてきて離れない。
「や、やめて……だめ……!」
「ほら、聞こえるでしょ? 花梨より瑠衣ちゃんのほうがいっぱい濡れてるかも」
ぬちゅり、と陰唇が押し広げられたのがわかった。
そのまま膣と尿道のあたりを中心に、小さな円を描くように愛撫されていく。
じっとしていられないような痺れが、くすぐったさと混じり合いながらじわじわと体内に広がっていく。
(本篇に続く)