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未定第二部
推理リレー小説 - その他

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未定第二部 21

お銀はさも面白くなさそうに説明し、俺も何だか世界のつまらないパワーバランスのようなものが見えた気がして、溜息が出た。
まあ、先進国と後進国の縮図や闇商人の尻尾が見えたところで世界の何が変わるわけでもない。
俺はちっぽけな人間なのだ。
ともあれ、俺達は気を取り直して千葉の後を追った。
すると、俺達が最初に連行された部屋の前に辿り着いた。千葉の奴と対面した部屋だ。
俺達は扉の前で立ち止まり、慎重にその扉を調べた。
「あけた途端、何かとラップひっかかるとかないよな」
俺の言葉に、お銀が神妙な顔を見せる。
「あり得るわね。健、私達は離れているから扉をゆっくり開けて」
「ちょっ!!なんで俺なんだよ」
「貴方はギャグ担当だから死なないわ(きっぱり)」
余りにも身も蓋もない言葉であったが、困ったことに俺も同意見なのだから仕方がない。
健は哀れな目をこちらに向けるが、お銀がそれを両断する。
「ほら、土下座右衛門も同意見なのよ。多数決は世界の黄金律なんだから男なら覚悟を決めて玉砕しなさいっ!!」
「玉砕ってなんだよっ!!」
「男が細かいことを気にしないっ!」
結局、健は渋々ドアを開けた。流石にドアの正面に立つような莫迦なことはしないが、特に爆発なども起こらず、健は怪訝な顔でこっそり中を覗く。
すると、正面の壁に張り紙がしてあり、そこにはこう書かれていた。

『右を見ろ』

よく分からないまま、右を見る健。
特にトラップが仕掛けられている様子もないので、俺とお銀も思わず顔を覗かせる。
すると、右側の壁にはまた別の張り紙がしてあった。

『左を見ろ』

「一体何なのよ。ちょっと人を莫迦にしているわね…」
お銀が僅かに眉根を寄せる。しかし、そう言いながらも左の壁を見るお銀。勿論、俺も健も同様に首を曲げた。物見高いは人の常…とはちょっと違うか。
さて、左側の壁にはまたも張り紙がしてあった。
それは…。

『上を見ろ』

俺達はその張り紙を見て、人を莫迦にしていると思いつつも、つい部屋の中に入り、そして天上を見上げた。
そして、やはりそこには張り紙がしてあり…。

『キョロキョロするな、たわけ者っ!』

次の瞬間、足下の床が抜け、俺達は間抜けな悲鳴を上げて落下した。
俺達は落とし穴の底で呻き声を上げ天を仰いだ。小さな四角い天上が見え、恐らく其処に“たわけ”と書かれた張り紙があるのだろう。
それにしても迂闊だった。六錠さんから警告を受けていたにも拘わらず、この様な間抜けな罠に引っかかるとは…。
やがて暗闇に目が慣れると、俺達の目の前にも貼り紙がしてあることに気が付いた。
そして其処にはこう書かれていた…。

『ざまあ見ろ。阿呆が見る、豚のケツ』

瞬間、頭に血が上り、血圧が激しく上昇。怒りに目眩を覚えながら天上に向かって叫んだ。
「畜生っ!この卑怯者っ!!」
千葉に聞こえるはずもないのだが、取り敢えず叫ばないことには腹の虫が収まらなかったのだ。
「莫迦ね、聞こえる筈ないじゃない…」
お銀が耳を押さえ、うんざりした声を上げる。しかし…。
「聞こえているぞ、愚かな阿呆の豚のケツ共…」
愚かで、阿呆で、しかも豚でケツっ!!?
落とし穴の入り口に誰かの人影が見えるが、逆光で判然とはしない。しかし、この声。そして傲慢な喋り方。誰がどう考えても上から顔を覗かせているのは千葉しかいない。
「ええい、こんなくだらない罠を仕掛けやがってっ!くそっ!恥を知れっ!この卑怯者っ!!!」
俺は穴の外に向かって声を張り上げたが、帰ってくるのは人を小馬鹿にした下卑た笑いばかり…。しかも、千葉はふてぶてしい態度で俺達の怒りを更に大きくする。
「ぬっはっはっははは、卑怯の何が悪いっ!正直で飯が炊けるかっ?正直にしていれば誰かが養ってくれるとでも言うのか??卑怯、大いに結構。卑怯のお陰でお前達を掴まえられたのだからな。卑怯千歳っ!卑怯万歳!!ゴッドブレス卑怯っ!卑怯よ永遠なれっ!ザ、ベストオブ卑怯っ!!ぬはははっ!大体、くだらない罠に引っかかるお前達がお間抜けなのよっ!!や〜いや〜い、悔しかったら此処までおいでっ!!お前達豚にはその狭いあなぐらがお似合いだっ!!イ〜ッヒヒヒヒ!」

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