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未定第二部
推理リレー小説 - その他

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未定第二部 24

「さて、誰の頭に穴をあけてあげようかしら?そうね、そこの可愛らしいお嬢ちゃんからにしましょうか…」
そう言って茜は銃口を桜子に向けた。しかし、子供ながら幾多の修羅場を見てきた桜子はまんじりともぜずに銃口を睨み返す。
「あら、怖がらないなんてつまらないわ。でも、その目が嫌いから、やっぱりあの世に送ってあげる。今度生まれてくるときはもっと可愛げのある子供に生まれてきなさい…」
「あら、殺人狂のおばさんに言われたくないわ…」
負けじと桜子も言い返すが、俺達はいつ茜の銃口が火を吹くか気が気ではなかった。
そこへ、六錠が俺に耳打ちをする。
「ミスター、銃に対する心得を知っておくと良い。認知・命令・行動、だ」
次の瞬間、六錠はボロボロになっていた上着を投げて桜子の姿を遮った。
そして銃声。
凶銃モーゼル…ありったけのフルオート…に確かな手応え。ボロボロの上着越しに、脳漿をぶちまけ二目と見られぬ姿と化した桜子を確信していた。
「な…?」
しかし、そこにいたのは仁王の化身か…防弾メイド服と筋肉の鎧に身を固めた阿鈍と寒村。
「ちいぃ!邪魔をするなぁっ!」
モーゼルに予備弾倉を叩き込み装填…。
「そのへんにしとけや?」
健がウィンチェスターライフルをヒップポジション…腰の高さ…でぶっ放す。モーゼルの弾倉に着弾…ばがっ!19発の7.62mm弾が誘爆。茜の右腕が蒼い炎に包まれる。
弾倉部分がズタズタに裂けた拳銃…茜は薬室内に残された一発で一人でも道連れを作ろうというのか?炎の燻る右手から左手に持ち替えた…。
「んっがあぁあっ!」
怒れる女神かイカレた女神か…どっちでもいい、そろそろ引導を渡してやるか?

俺は最後に渾身の蹴りを茜に決めると、気を失った茜を縛り上げて船に残しておくことにした。
見ると、今泉も碧を下し、戦車も亀の様に腹を見せている。
茜のこれまでの非道から六錠は禍根を残すことになると言っていたが、桜子に処刑する様子を見せるのも面白くない。
茜達が何らかの間違いで生き延び、再び災いとなっても、それはそれでなるようになるだろう。
桐山のヘリに間一髪乗り込んだ俺達は上空から、爆発によってへし折れ、海に沈んでいく客船を奇妙な感慨を持って見送った。
「さて、会社に戻ってどんな言い訳をするかな…」
俺はそう呟くと、身体を伸ばして大きく息をついた。
明日からはまた退屈な日々が待っている。

…終わり。


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