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未定第二部
推理リレー小説 - その他

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未定第二部 16

さて、健が母ちゃんにぶっ叩かれている頃、俺達の乗る豪華客船に、輸送ヘリが近付いてきていた。最近はあまりイメージの良くないスーパースタリオン。勿論米海兵隊ではなく、桐山所有の物で、何気に電波吸収素材など、防衛庁の特許とかも拝借している特殊ヘリである。
そのスーパースタリオンから、コンテナが一つ、甲板の上に投下された。船が大きく揺れ、観客が悲鳴を上げる。
慌てた千葉の部下がコンテナを取り囲むが何が起こるか分からない。爆弾かも知れないと訝っていると、やがて白煙と共にコンテナが四方に開き、中からは巨大な黒いバイク、エリミネーター11が姿を現した。
そして、その鉄騎に跨るのは勿論最終メイド兵器“葵”。葵は重いエリミを軽々と旋回させ、甲板に火花を散らせるとマックスターンを決めた。
「先輩、私が今、助けて差し上げますからねぇっ!!!!」
吼える葵。ウィリーしながら千葉の部下を蹴散らすその後には、綺麗なφマークが残されていた。

直線は早いが曲がれない、止まらないと言われる重バイクを葵はいとも簡単に操り、船の中を縦横無尽に駆け回った。
千葉の部下達も乗客に怪我人が出てはと気遣い、なかなか葵を捕らえることができない。
それを嘲笑うかのようにバイクを乗り回す葵。それで手下共を一掃してくれれば良かったのだが、しかし葵はどういう訳か実弾の武器を所持しておらず、ペンキの入った放水銃やペイント弾でそこら中に落書きをして回るのだけだった。
左肩から提げたストーナー機関銃からカラフルなペイント弾が吐き出される。『なめん〇よ』『夜露死苦』『仏血義理』『関東最強』、彼女…もとい『彼』の学生時代が容易に想像出来る文章がそこいら中に刻まれていった。
(BGMゴッドファーザー)
「葵っ!」
「兄様!」
エリミに両足を揃え、お嬢様スタイルで2ケツで飛び乗る今泉省吾。
甲板上での大混乱もつゆ知らずコロシアムでは…。
「お父んが残してくれた牧場に焼肉チェーン…左団扇の暮らしほってでも…行くんか?」
無言でうなづく健…ムードは打って変わり旅行く男と母の姿があった(なんだかなぁ)。
「よーしわかった!めりけん男のうえすたん魂!この目で見届けちゃる!」
どこに隠していたのか健のライフルと弾帯、涙を拭い受け取る健。
「言ったよな?なこんな首輪じゃ俺は縛れねえって!」
碧のリモコンに指が掛かる、そして健の引き金にも…。
「後は頼んだぜみんな!」
…銃声…

銃声と共に、誰もが健の頭が吹き飛んだと思った。しかし、一瞬早くにバイクで乗り込んできた葵が、ペンキを健の顔に目掛けて吹き付けた。その為、大体の場合は射撃の腕に定評のある健であったが、狙いを物の見事に外し、奴が撃ち出した弾丸はVIP席の窓の下に放射線状に亀裂を作っただけであった。そして、全く無傷の健。
驚いたのは俺達もだったが、リモコンを押した筈の碧も酷く狼狽していた。そこへ、脳天気な様子で葵がVIP席の二人に向かって手を振る。
「やっは〜っ♪お姉さま方。お久しぶりで〜す♪♪この船は今、バイクの噴煙に混ざっている攪乱物質と、私がまき散らした遮蔽塗料によってラジオや無線の類は全然使えない状態なんです。そろそろゲームはおしまいにしませんかぁあ??」

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