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未定
推理リレー小説 - その他

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未定 10

「人呼んでイエローボーイの健!裏切り者に裁きの銃弾を…」インチキ西部劇かぶれの男が長々と芝居がかった口上をたれる。「きっと元旦那だよ」「や〜ね猟銃まで持ち出して…」周りのヒソヒソ話の内容も何やらどんどん加速がついてゆくような気がする。「やめて!新しいパパをいじめるのはやめて…!」ってオマエもやめんか!
「やかましい、このどアホ!」次の瞬間、俺は健と名乗る男の顔面に蹴りを打ち込んでいた。メリッと言う音と共に健は白目をむき、鼻血を吹き出して卒倒する。ともあれ、これ以上ここにいてあらぬ噂が広がってはたまらない(既に手遅れの気がするが…)俺は少女の手を掴んで店を飛び出した。目指すは田宮の待つオフィス。
「前の車ー!車を脇に止めておとなしく止まりなさい!」
後ろから聞こえるサイレンと、警察の制止の声。
「何の因果で俺が警察なんぞに追われなきゃならねぇーんだ!」
「どっかの誰かさんが、どっかの馬鹿に殺人的な蹴りいれたからね〜」
「そんなことどうでもいいから、前見て運転してください。」
人が切羽詰まってるときに相変わらず呑気な女達。さすがの俺でもイライラしてくる。
「馬鹿野郎!早くチャカ引っ込めろ!」隣を走っていたワゴン車から罵声が聞こえた。どうやらいつの間にかつけられていたらしい。多分、最初に追ってきた連中だろう。ワゴンが急カーブでタイヤをきしませながら脇道へ逃げ込み、パトカーもそれにならう。「…運のいい奴らね…あと0.2秒遅ければ私のブルドックが…」やめいっ!
なんとか田宮の元を訪ねた俺達であったが、田宮はかなりの渋面を作っていた。仕事を放棄、その上依頼人に会いに来るなどプロにあるまじき行為である。報酬の交渉は仕事が終わったからにすべきであった。「困りましたね…」溜息を漏らす田宮。「そもそもそちらが無理に仕事を押しつけたのが悪いんだろ」俺は虚勢を張ったが、田宮は聞いていない。「ともあれ、前金を受け取った以上、仕事を受けてもらうしかありません。しかも、かなりの時間をロスしてしまった。そこで、あなたにはこの子に同行して香港まで行ってもらいたい」

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