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未定
推理リレー小説 - その他

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未定 9

邪道と言われようが俺はけつねコロッケを勿論うどんで、女は月見蕎麦にかき揚げのトッピング。そして少女はよく分からないと言うので、俺が常連しか知らない“常夜”を選んでやった。二人ともあまり文句を言わずに食べている。
そこへ、何を勘違いしたのか親父がニヤニヤして声を掛けてきた。
「鈴木さんにこんなべっぴんの嫁さんがいたとはねぇ……」
俺は思わずむせかえった。
「冗談きついで、おちゃん、この女とわいが夫婦に見えるか?」
俺は、焦りすぎてえせ関西弁で否定した。このおっさんは、料理の腕は良いが、口が軽いのだ。勝手に既婚者にされてはたまったものじゃない。
「じゃあ、どういう関係なんだい?ん、これかい?」
おっさんは、小指を立てながらそんなことを聞いてくる。
「この人、世間体を気にしてなかなか認知してくれなくて……」と、女はわざとらしくハンカチを目元にやる。続いて少女までもが「パパァ、早くお家に戻って来てぇ」などと口走る。「お、お前らなぁ」俺は言葉を失うが、そこへおっさんの駄目押し。「鈴木さん、あんまりふらふらしてないで、早く身を堅めなよ」深々と同情の溜息をつき、俺の肩を叩く店の親父。ちょっと待てよ。どう見たって子供の年齢とか合わないだろうがッ!!ああ、俺の人間性が歪められていく‥…。
「もう、食い終わっただろ?とっとと行くぞ!」
俺は顔見知りや周りからの非難の目に耐えられず、少女と女を急かす。すると少女は、涙目で、
「まだ、スープが残ってるもん!パパはいつもそう、そんなに私達と一緒にいたくないの?」
なんて事を言ってくる。
「鈴木さんは、もっとまじめな人だと思っていたんだがね〜」
常連達のヒソヒソ話が辛い…
そこへのれんをくぐる一人の男。何の不自然もなく?レトロな背広にレトロウインチェスターライフル。「久しぶりだな、けつねコロッケのお銀!」銃口で女をご指名する。なにやらこの女と浅からぬいんねんがあるようだ。「誰…?」当の本人は忘却の彼方らしい。

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