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未定
推理リレー小説 - その他

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未定 8

「しょうがない、もうひと頑張りしますか。」
「頑張らないと、依頼ひとつ果たせないのね。」
「…。」
追っ手や警察なんかより厄介なのが今回の荷物なのだ。俺の血管が切れないよう頑張らなくては。
俺は自分の心に言い聞かせながら、アクセルを踏み締める。
休日だけに空港への上りは渋滞しはじめていたが、当然下りはガラガラだけに大して時間はかからない。そしてさらに人の気配のないオフィス街へ向かう。たしか、依頼者は『休日出勤』してきてるハズだ。なぜそんなコト知ってるかって?…まぁ、そのへんは、おいおい。
今回の依頼人は日本有数の大企業桐山コンツェルンの総帥、桐山泰山。俺はこういったところから仕事をもらう代わりに、接待や出張の名目で運び屋をやっている。もちろん、桐山本人から直接依頼があるわけではなく、秘書室長の田宮と言う男と連絡を取り合っている。つまり、後部座席で銃の手入れをしている女が今はその代理だ。気になるのは今回は代理人の女をよこしたこと、そして、この少女と桐山の関係だ。もっとも、田宮に会えばその辺の事情も聞けると思うが。
「ところで、いつになったら私のリクエストに答えてくれるのかしら?」
少女が急にそんなことを口走った。
「リクエスト?何のことだ?」
俺が、そう尋ねると、女があきれた顔で、少女の言葉の意味を説明してくれる。
「ずいぶん前に、おなかが空いたと言っていたでしょ。もう忘れたの?これだから、低学歴者は。」
…余計な事もずいぶん言ってくれたが。そういえば、空港に行かなかったので、少女になにも食べさせていなかった。
俺は二人をオフィスに向かう途中の立ち食いそば/うどん屋に案内した。『表』の仕事の帰りによく立ち寄る店だ。関西人ごのみの薄口系…。「てゆーか?フツーこんなとこ女のコ連れてく?」「…前菜は…?」とかなんとか言いつつさっぱり昆布だしに舌つづみをうっている二人。

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