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未定
推理リレー小説 - その他

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未定 4

歳は11、2才ごろだろうか。艶やかな黒髪は肩下程、それに合わせたかのような、所々に白いレースをあしらった真っ黒なワンピースを着ている。ぱっちりとした瞳で、愛くるしい人形のようだ。少女はくすり、と笑った。「話は聞いてるわ。私を運んでくれるんでしょう?しっかりして頂戴、運び屋さん」ずいぶんと大人びた口調に、俺は一瞬怯んだ。
「仕事が終わったら残りの報酬を渡すわ。それじゃあ、その子をよろしく。再見」女がそう言って立ち去ろうとしたとき、パンと乾いた音が響いた。銃声だ。続いて二発、三発。女はスカートをまくり上げると、太股に巻いたガンベルトから銃を抜いた。多勢に無勢、こんな銃一丁では話にならない。俺は女を無理矢理車に押し込んで、エンジンをかけた。「ちょ、何するのよっ!」女は不服そうな声をあげるが、かまってはいられない。銃を構えた男達が立ちはだかるが、その間を無理矢理すり抜ける。畜生!今日は厄日だ。
あんなの、屁でもなかったわよ、と言わんばかりの女の視線と、ヘタレ、と言わんばかりの冷めた少女の視線が突き刺さる。
車で敵の囲みを飛び出すと、追っ手の車が何台も追いすがってきた。女は窓から銃を撃っていたがすぐに撃ち尽くすと、毒づく。「あなた、こんな商売をしていて銃の一つも持っていないの!?」「あいにく、俺は運び屋でね……」格好をつけたつもりはないが相手はそうは思わなかったようだ。呆れた様子で肩をすくめると、溜息をつく。「はあ、ともかく、この車は相手より小回りが利きそうだから路地に逃げ込んで……」そうぼやく女の言葉を、俺はまともに聞くつもりはなかった。「そう言うのを、釈迦の耳に念仏って言うんだぜ」
放置されたガラクタを跳ね飛ばしながら、車幅ギリギリの路地を爆走する。相手が毎度おなじみベンツ&トカレフなら軽く逃げ切れる状況だ…。連中も馬鹿ではなかった。 大型車で追跡できない状況を考慮して、バイク部隊を用意していたのだ。ハナから狭い場所に追い込み足を殺すつもりだったらしい。なすすべもなくバイクからの銃撃が迫る…。

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