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未定
推理リレー小説 - その他

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未定 15

「…いま何か、大事なこと言ってなかった?」桜子のツッコミに顔を見合わせる俺と銀鈴。ウイーン…コンテナが自動的にコンベアで運ばれてゆく。「あ」 そして待機していたトラックに積み込まれ、そのままどこかへ運ばれてゆく。
首を傾げてコンテナを見送る俺と銀鈴。しかし、その時、俺達の目の前に見知らぬ男が立ちはだかった。長身痩躯、猛獣のようなぎらぎらとした瞳。そして、黒い革の手袋…。「六錠…」銀鈴の唇から、小さな呟きが漏れだした。次の瞬間、俺は本能的に蹴撃を見舞った。それを苦もなく払いのける六錠。俺の背中に悪寒が走り、肌がぴりぴりとざわめく。「騒ぎを起こすのは、君達の本意ではないと思うんだけど?」
我流で身についたケンカ術たが、先手さえ取れればプロの格闘家でも秒殺できる蹴りも軽くいなされた。銀鈴は丸腰だし、仮に拳銃一梃あったところで、すでに奴の間合い。大した役に立つまい。しかもこちらは桜子という『荷物』まで抱えている…。
俺は六錠の動きを確実に捉えていた筈だったが、六錠は音もなく俺の懐の入り込む。そして、奴の黒い拳が弾丸のように俺の頬を打ち抜いた。ゴロツキ共のテレフォンパンチなどでは決してない、本物のパンチだ。しかし、意外にも俺の頬に当たった拳はぺちりと間の抜けた音を出す。
「僕も、騒ぎは起こしたくなくてね」石塚運昇の声で六錠が告げる。
「世の中いろんな人がいるよね?」六錠は惚けたように、トラックの走り去った方を眺めながら淡々と語る。「彼はチンピラなりに仕事をこなそうと最後の最後まで良く頑張りました…」そして悲しみにくれたような流し目をお銀に送る。「その場の気分や目先の利益の為に好き勝手絶頂な人生送ってる人もいますけど、ね?」

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