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推理リレー小説 - サスペンス

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スクリーン 2

『一体、何が目的なんだい?』
『……言ったでしょう?私の目的は貴方の命。それ一つよ』
『…そんな事したら警察に捕まるよ。君はまだ若いんだし…やり直しはきく。今なら無かった事にするけど?』
とりあえずは説得してみるのが一番だろう。
此処で思い止まってくれればそれに越した事は無い。
『…警察なんて怖くないわ。皆、撃ち殺してやる』
『……』
女は銃口を背中から頭へと移し変えた。
一発で即死させるつもりなのだろう。
恐らくは交通事故で即死した姉と連鎖させながら――――

『…っ撃たないの?』
『っ撃つもん』
銃の重みでかなり疲労している。
今なら一瞬の隙をついて捕まえる事が出きるかもしれない。
微かな余裕…それが生まれたのだ。
とりあえず、まだまだ説得した方が良いだろう。
彼女が疲れ果てるまで―――

『……』
相当、疲れて来た様だ。
銃口の位置が俺の体から僅かながら離れている。
『ねぇ』
彼女は敏感に俺の声に反応した。
きっと物凄く神経質になっているんだろう。
ちょっとした音でも過剰に反応している。
『そんなの…何処で買ったの?』
彼女が持つピストルを見つめた。
『っ喋らないで!』
女はヒステリックに叫んだ。
女は再びピストルの位置を頭に戻した。
それにしても、どうして彼女は撃って来ないんだろう。
まさかとは思うが他にも仲間が居てそれを待っているのかもしれない。
俺の頭にはいくつかの考えか浮かんでいた。
こんな時に何を考えているんだろう?
ふと、女の方に目を移すとさっきよりも疲労していた。
今がチャンスの時だ。
かなり、危険だとは思うが俺は賭けに出る事にした。
俺は女の一瞬の隙を狙いピストルの安全装置の部分に人差し指を挟んだ。
「…っく」
女は俺の腹を膝で何度も蹴って来たが俺が怯む事は無かった。
(警察だ!この女を警察に突き出さねば……)
俺は対面識になっているキッチンの上に置いてある携帯に手を伸ばした。
「警察ですか…変な女が内に居るんです。捕まえちゃって下さい…」
俺は変に落ちついていた。
…女があっさり逃げ出してから一週間が過ぎた…。銃に挟んだ指は見事に生爪が剥がれていた。よくよく考えてみれば安全装置などというモノは電気のスイッチ位の大きさしかなかった訳で…その隙間に俺の爪の厚みは丁度良かったらしい。しかもあの女、その状態で力任せに引っ張ったもんだから…。

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