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推理リレー小説 - サスペンス

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スクリーン 1

『…お久しぶりですね』
『………』
其所に人が居る限り、人は人を求める物だ。


時を遡る事、7年前。
いつもと変わらない町並み。
学校の帰り道。
当時、小学校高学年だった俺。
歩道橋を渡りながら。ふと反対側に目をらった。一台の大型トラックが流れる様に走り去って行った。
俺のスクリーンに深く焼き付く残像を置いて――――

少女にはまだ息があった。
小さな彼女の体を踏み潰して行ったトラック。運転手は少女が其所に居た事すら気付いて居なかった様だ。
歩道橋の上からただじっともがき苦しむ彼女を見ていた俺。
口をあがあがさせながら必死に何かを伝えようとしている少女。
『…………』
みるみる血が溢れ出る少女の腹部。其所を激視する俺がゆっくりと上へ上へと目線を移していく。
瞳と瞳が一致した時。彼女は息を引き取った。

俺はその場を離れた。
いつもと変わらない一定の速度で。
俺にとってその出来事は所詮、他人事だった。
心はまだ幼く。未発達だった俺にとって偶然にも俺の瞳のスクリーンにただ映って来ただけの事だったのだ。
「何を驚くの?」「…」無言の俺の胸中を知ってか知らずか女はクスクス笑う。
「何が面白い? 」女の笑いが急に止まる。
「あなただってあざわらっていたのでしょう?」
『君は誰なんだい?それからあざ笑っていたって何の事?』
『…っ手をあげなっ!』
『?』

全てが一瞬だった。
『フフ…アナタにも姉と同じ思いをして貰います』
『あ、姉?』どうりで似ている訳か…。
『アナタがあの時、逃げずに通報してくれれば姉は助かったかもしれないのにっ…!!』
『ちょっと待ってよ。君のお姉さんはトラックにひかれて即死だったんだよ?』
『…やっと認めてくれましたね』『……』
これはもう、まさしくお手上げだ。
『解った。何が望みなんだ?金か?』『解って無い!言った筈です。アナタを殺します!』
金目的では無い。これが一番、扱いにくいタイプでは無いだろうか?
俺はそう思う。
女はピストルで俺を脅しながら家の中へと入る。
女は俺をリビングの中へと誘導した。
「あら!いい暮らししてたのね」女は部屋を見渡した。
「まあ。こんな高層マンションに住んでるんだからそれなりに良い暮らししてるのね…」

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