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狼たちの挽歌
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狼たちの挽歌 7


…俺は今刑務所にいる。
あれから110番し、オッサンにばあさん殺しの罪を着せることに成功した。
しかし後日、監視カメラの映像から俺の偽装がバレてしまった(万引きも)。だが、偶然によるものだという俺の訴えは認められ、懲役二年で済んだ。
俺にとって二回目の逮捕だが、暗黒街に住む人間としてはかわいいモンだ。
俺はここからはい上がってやるぜ。待ってろ!世間!
「おい!メシだぞ」
監視員が牢の俺に声をかけてきた。
グゥ〜
俺の腹が返事する。これだけはよかった。万引きしなくても毎日メシが食えるからね。

最初こそしんどかったが、慣れてしまえばここでの生活もそう悪くない、とにかく早く出るためにここでは模範囚で通した。生活態度が良ければ当初受けた懲役よりいくらか早く出られる、強制労働では常に成績トップを守り続けた。

俺は犬のようにがっついた。特別ウマイ訳じゃないけど、メシが食えるって幸せだ…。

俺が入所して数ヶ月後、この刑務所でイベントが行われるという話を聞いた。
年に一度だけ、受刑者達の気晴らしの意味で行われるらしい。
主に受刑者達は手品やら一発芸をやったりするようだ。
参加は自由のようだが、俺はピクッときた。俺の芸を披露するチャンスだ。

このイベントは俺にとってめったにない機会だ、今の自分の実力を試す数少ない舞台、そしてゆくゆく暗黒街の人間を相手に笑いをするという点では囚人達はこれ以上ない練習相手だ。

早速大ウケするネタを考えなければ。

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